(西多摩郡・ごりさん)
今から八年前、自分が29歳の時突然妻が子供を連れて家を出ていってしまいました。
理由が分からなかったので妻の実家に電話すると、
妻の母が『うちの娘をこれ以上困らせないで…もうほっといて下さい!』
と言って電話を切られてしまいました。
何がなんだかわからず、妻を困らせた理由もわからず、毎日妻と子供の帰りを待ちました。
一週間…二週間…三週間…子供に会えない心労で体重が10㌔落ち、《もうだめだ》と思ったとき思い切って実家に行くことにしました。
チャイムを鳴らし玄関を開けると、そこにはいつもと変わらぬ母の姿が…母はすぐに自分の異変に気付き『どうしたの?何があったの?とにかく上がりなさい』と言い家に上がりました。
台所で料理を作っていた母に、自分は心配かけたくなかったし、また弱い自分を見せたくなかったので、明るく強がりながら『実はカミさんが子供を連れて実家に帰っちゃってさ~』と笑いながら言うと母は『あんたちゃんとご飯食べてるのかい?ご飯作るから食べて行きなさい』と自分に背を向けて料理を作り始めました。
料理を作りながら『何も心配することはない…ちゃんと神様が見ててくれるから』と優しく話す母の背中を見てたら胸が熱くなり、自分は『今日はご飯いいや!なんか心配かけちゃってごめんね』と明るく言い、逃げるように玄関を出ました。
車に乗ろうとする自分の手を母はとり、強くにぎりしめ『あなたは私の息子なんだから…いつでも遠慮しないで家にいらっしゃい…』と言う母の顔を見たら、目に涙をいっぱい浮かべていました。
自分は『ありがとう』と一言言うのがやっとで車に乗り込みました。
車を少し走らせると、手に紙の感触がしたので、車を止めて手の中を見るとそこにはしわくちゃな一万円札が…。
決して裕福ではない、母にとってとても大切な一万円なのに、それを母は自分を心配して…。
自分は母の優しさと暖かさにと有り難さを知り声を上げて泣きました。
翌年離婚になり愛する子供達と会うことは出来なくなっしまったけど、今は一生懸命親孝行をさせてもらってます。
本当に両親には感謝の気持ちでいっぱいです。
投稿者 ごぜんさまスタッフ : 2007年12月13日 12:43
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