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2010年09月15日

翻訳の達人

今回、お迎えした匠は、
翻訳の達人 本田恵子さん

本田さんは、大学で韓国語を学ばれたあと、通訳として活躍。
そののちに映像翻訳者に転向。
代表作はぺ・ヨンジュン主演「ホテリアー」映画「手紙」
「マジシャンズ」などがあります。


●最近、ブームではなく韓国ドラマがすっかり定着しました。
週にどれくらいのペースで翻訳されているのですか?


今は字幕翻訳のほかに大学の講義と制作会社で講座を受け持っていますので
自宅作業になるドラマ翻訳は1週間に1~2本(ドラマ1話60分)ですね。
2,3年前は翻訳者も少ないうえに韓国コンテンツが大量に入ってきた
時期でしたので1週間に3本ペースで仕事をこなしていましたが、
とてもキツかったですね。寝る暇もないほどでした。字幕翻訳者は
翻訳だけではなく字幕を入れる時間計算まで担当するので
思ったより時間がかかるんです。


●字幕には文字制限とかあるのですか?

あります。1秒3.5~4文字が相当だとされています。
字幕は音の出ている部分に表示されますから、2秒表示される場合は8文字まで、
3秒表示される場合は12文字まで、となるわけです。

また1つの字幕の長さは最長で6秒ですのでそれを超えて表示されることは
ありません。
原語で「朝早くから随分騒がしいけど一体何があったの?」というセリフが
あったとしましょう。
これはしゃべると2秒くらいなので字幕では「朝から何の騒ぎ?」
(8文字)となるわけです。文字数は短くなっても、いわんとすることは
きちんと伝えなければいけません。

●一番苦労することは?


原語の内容を取捨選択したり、さまざまな努力と言葉のセンスが
必要となります。

ドラマの登場人物の性格で「ごめん」「ごめんな」「すいません」
「悪い」など同じ謝るのでも、どの言葉がマッチするのか
選択しなくてはなりません。

また、これは勉強してすぐ身につくものではないんですよね。
たくさん本を読んだり、普段から意識して語彙力を高める姿勢が必要となります。
センスを磨くには長い時間がかかるものなので日々修行のようなものです。
先が見えない努力を積むというのは結構つらいですよ・・・
字幕翻訳は10年以上やってやっと一人前。
ベテランと言われるには15年以上かかると言われています。


●最近の韓国ドラマの傾向は?

★ドラマの内容については韓流が始まった頃と大差はないと思います。
だいたいいつものパターンですね。

大財閥の御曹司とそれを知らずに出会った普通の女の子が身分の差を
乗り越えて幸せを手に入れるとか、出生の秘密がカギとなっていて
波乱万丈な運命が待ちうけるとか、とにかくダイナミックな
シンデレラストーリーが展開されるわけです。

でも、いつも同じようなパターンだからといって先が見えてつまらないとは
思ったことはありません。むしろ似たパターンなのにまたも
引き込まれていく自分に驚くほどですよね。
なぜそうなるかは、やはり「ドラマチックな展開」に
魅せられてしまうんだと思います。

こんなこと現実では絶対ありえないよな、という風に醒めてしまうのではなく、
いつしか主人公に感情移入してしまう韓流ドラマの魔法があるわけですよ。
ドラマだからこそ楽しめる。主婦層や30代以上の女性に人気があるのは
そのせいだと思っています。

       
★あとはマッチャンドラマというのが、流行っています。
もともとの言葉の意味は、炭鉱の行き止まりという意味で、
「そこまでやるか?」という場合などに使われます。

内容は「復讐劇」で、かなり激しい内容のドラマとなっています。


●今後のご予定は?

まず先日翻訳した「ドラゴン桜 韓国版」がこの秋に発売されるので
ご興味のある方は、是非見てみてください。
ジャンルとしては学園モノですが、すごく面白いです。
俳優陣がしっかりしているので見ごたえあります。

また、西麻布にある翻訳会社のワイズ・インフィニティさんで
講座を受け持っておりまして、11月から始まる韓日字幕翻訳講座 
基礎科がただいま募集中です。
字幕翻訳者を目指したい方は是非ご検討ください。


ワイズ・インフィニティさんはこちら!


投稿者 たまなび : 2010年09月15日 17:24

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