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2010年07月28日

海外移住のウラを知る達人

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今回、お迎えしたのは海外移住のウラを知る達人、
出井康博さん

出井さんは、ジャーナリスト。『ザ・ニッケイ・ウィークリー』の記者を
経て独立。最新の著書に、『年金夫婦の海外移住』があります。
今日は、その本をベースにメイド・プール付きとか、ゴルフ三昧といった
悠々自適生活が本当に可能なのか?を詳しくお聞きしました。


●海外生活に憧れる年金生活者に注意することは?

まず、テレビの旅番組や旅行雑誌の記事に騙されないこと。
物価の安いアジアのリゾート地に住めば、「月10万円でプール・メイド付の
夢の生活ができる」といった番組や記事をよく目にします。
しかし、それは全くの嘘。旅行代理店や保険会社などがスポンサーとなって
製作された「ヤラセ」ということが多い。
 
確かに、日本よりも物価の安い国はたくさんあります。
ただし、生活費を抑えようとすれば、現地の人と同じような場所に住み、
同じようなモノを食べる必要がある。しかし、海外生活に不慣れな
年配の人にとって、いきなり「現地スタイル」で暮らすことなど不可能です。

たまには日本食を食べたいと思うでしょうが、
日系のスーパーで買うとサンマが400円、納豆が300円という場合も。


結局、日本人と付き合い、日本食レストランで食事をするような生活をすれば、
日本で暮らすのに近い出費を覚悟しなければならない。
こうした事実は、テレビや旅行雑誌では伝えられません。


●アドバイスしたいことは? 

海外生活で気になる国や場所があれば、まず実際に旅行で訪れてみること。
何度か通って少しずつ滞在期間を延ばし、言葉を勉強したり、
食事や文化などへの相性を確かめてみるべきです。

初めて訪れた滞在先が気に入って、いきなりマンションを
購入するような人もいますが、それは絶対に避けるべきです。
現地で暮らし始めた後、問題が出たりしても、簡単に物件を
売ったりできるわけでもありません。また、中には日本の家を売って
現地に移住する人もいるが、日本に「帰る場所」を確保しておくべきです。
日本の常識では考えられないことも海外では起こります。
例えば、最近もタイであったような騒乱やクーデター、物価や為替の
大きな変動といったことにも備えるべきだと思います。

●取材して、びっくりしたことは?

■インターネットの情報に注意

とりわけ注意すべきなのは、インターネットの情報です。
インターネットは情報収集のツールとしては極めて便利で、
現地に住む日本人のサイトが貴重な情報源となるケースも多い。
ただし、サイトの運営者が「善意の素人」とばかりは限りません。
業者が「素人」を装っているような場合も有り得るのです。
また、本を出版しているとか、マスコミに取り上げられたことを売り文句に
している人もいますが、簡単に信用すべきではありません。
       


■日本人が日本人を騙す

実は、海外で詐欺などの犯罪被害に遭う際、加害者は外国人よりも日本人が
圧倒的に多いのが現実です。つまり、日本人が日本人を騙すということ。
考えてみれば、騙すほうも言葉が通じない相手は騙せませんから、
当然といえば当然です。
被害者の方に問題がある場合も少なくない。取材を通じて不思議に感じたのは、
海外で出会う日本人を簡単に信用する人が余りにも多い、ということです。
同じ日本人というだけで気を許し、後で大変な目にあってしまう。
たとえば、家やマンションを契約する場合でも、日本にいれば複数の業者を
当たり、幾つもの物件を見て回るはずです。しかし海外では、
そこまでする日本人は多くない。特に相手が日本人だと簡単に信用し、
結果としてボッタくられてしまうようなケースを何度も見聞きしました。


●今後も海外移住は増えますか?


確実に増えていくはずです。今後、700万人を超える「団塊の世代」が
年金生活を迎えて生きます。その上の世代と比べ、彼らは数も多く、
また海外旅行にも慣れている。
最近の円高も海外生活には有利です。
一方で、日本人が受け取る年金の額はこれから次第に減っていく。
自分から望んで海外での年金生活を始める人以外にも、日本で生活が
成り立たず「仕方なく」物価の安い国へと逃れていく日本人も増えていくに
違いない。つまり、近い将来、「年金難民」が大量発生する可能性がある。
現実に、日本での生活が経済的に難しくなってタイやフィリピンに逃れ、
単身で暮らしている日本人の年金生活者と、私は数多く出会いました。


●今後の予定は・・・・?


「長寿大国の虚構・外国人介護士の現場を追う」(新潮社)
…2008年から始まった外国人介護士・看護師の受け入れは、
なぜ失敗に終わろうとしているのか。官僚や政治家が新しい制度を
利権として食い物してしてく様を暴いたルポ。
       


「民主党代議士の作られ方」(新潮新書)
昨年の総選挙まで1年間、2人の民主党候補者に密着したルポ。
なぜ、政治にカネがかかるのか。取材対象の政治家・候補者を丸裸にし、
選挙制度の問題点を浮き彫りにした。


投稿者 たまなび : 2010年07月28日 17:24

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