今夜のマリーンズ

« 日本シリーズ最長試合!5時間43分の死闘は送りバント失敗合戦 | メイン | 日韓クラブチャンピオンシップ2010 »

2010年11月08日

2010年日本選手権シリーズ マリーンズ史上初3位から優勝

我が千葉ロッテマリーンズが2010年の日本一に輝いた。
2005年以来5年ぶり、通算4度目の栄誉である。

クライマックスシリーズ制度後初の、リーグ戦3位のチームが日本シリーズで優勝を果たした。

強かった。立派な勝利であった。

シーズン最後の負けられない3連戦に勝ち、西武とのCS1stステージでは2試合連続で劣勢の9回からの同点劇を演じ。そして見事に逆転で連勝。

完全に勢いをつかみ福岡に乗り込むと、ホークスとのCSファイナルでは、完全アウエーの中、1勝のアドバンテージをものともせず4勝をあげ日本シリーズ出場権を獲得した。


11月7日。マリーンズの3勝2敗1分けで迎えた日本シリーズ第7戦は、第4戦、第6戦に続き、またも延長戦となった。

マリーンズ渡辺俊介、ドラゴンズは吉見の先発で試合は始まったが、互いに打ちこまれ6回までに6対6。

序盤リードのドラゴンズを、マリーンズが中盤に粘り強く追い上げてきた。

7回、2死から今江がレフト前ヒットを放つと、和田の2塁への返球が乱れ、思わぬチャンス到来。得点圏にランナーが進んだ。

ここで、続くキムテギュンが綺麗にセンター返しを決め勝ち越し点をもぎ取ると、6回から3イニングを任された内は7奪三振の好投で、守護神コバヒロのために最終回の舞台を整えた。

7-6

1点リードで迎えた9回裏のマウンドには今オフFAでメジャーを目指す小林宏之。ひょっとするとこれが日本で最後の登板となるかもしれない。

前夜の登板では久しぶりに指にかかった力強いストレートを投げ込んでいただけに、いい形で今シーズンを締めくくりたかったはずだ。

しかし、ドラゴンズにも意地がある。
50年ぶりのリーグ優勝からの日本一を勝ち取るためにも、パリーグ3位のチームには絶対に負けたくないはずだ。

案の定、ドラゴンズは先頭の和田が吠えた。これほど追い込まれた状況でもこのベテランは小手先に頼ることなく初球をフルスイングでファール。2球目もストライクで簡単に追い込まれるが、ボールを2つ選ぶ。
そしてまたフルスイングのファールで2球粘ると、決めにかかったコバヒロが投げ込む7球目のストレートを思い切りしばき上げた。
快音を残した打球は左中間にグングンと伸びていく。

声を張り上げガッツポーズをしながら走り出す和田。しかし、打球は僅かにスタンドには及ばず、フェンス直撃の3塁打となった。

一気に同点とはいかなかったが、無死3塁。ドラゴンズにとっては千載一遇のチャンス。これを足がかりにサヨナラだってあり得ます。

続くブランコは、すぐさまセンターの頭を越えようかという鋭い当りを放ち、タッチアップの和田をホームに呼び込んだ。

あっという間の土壇場での同点劇である。

7-7 

全く、なんという日本シリーズだろう。

後続の打者はなんとか打ち取ったものの、またも延長戦に突入だ。

もしも、昨日に続き延長15回引き分けになれば、翌日にまたこのナゴヤで第8戦を行い、その試合をドラゴンズが勝利すると両チームとも3勝3敗2分けのタイとなる。
その場合はまたマリーンズの本拠地千葉に戻り、水曜日の第9戦で決着をつけるという前代未聞の戦いとなる可能性だってあるのだ。

「そんな馬鹿な」と思いつつも、現実に昨日の15回引き分けを目の当たりにしているので、おいそれと否定もできない。

千葉での第5戦で、ドラゴンズ先発の中田賢が、早々にマリンガン打線に捕まってしまったものの、敵将落合監督は「今後のために」と中継ぎ投手を温存し続け、シリーズワースト9失点の中田賢をさらしものにし続けたあの非情采配が、ここにきて意味を持ち始めたのが薄気味悪かった。

だがその心配は12回に消えた。

マリーンズの攻撃。この日4安打の今江は警戒の四球で出塁すると。11回から登板の伊藤が予想外の美しさでバントを決め2塁に送る。

期待の里崎はショートゴロに倒れたが、ここで打席には育成出身の岡田が入る。

すでに家庭を持っていたが「2年だけやらせてくれ」と栃木に妻と2人の娘を残し、単身赴任で汗を流して来た。

今季前半大ブレークしたものの5月に半月板損傷で戦列を離れた快速ルーキー荻野の代役として2年目の今年初めて1軍登録。
交流戦、東京ドームでの巨人とのデビュー戦ではいきなりタイムリーを放った。

一時はレギュラーをつかみかけたが、成長著しいもう一人のルーキー清田の台頭と、2割を超えない打撃の影響もあり守備固めでの起用が増えていった。

しかし、出番はいきなりやってきた。
初戦で大松が最初の打席でいきなりライトフェンス直撃のタイムリー2塁打を放ったものの、2塁に駆け込む際に太ももに軽い肉離れを覚え今シリーズ中の復帰が微妙となったのだ。

2年前、200人の観客を前に行われた新入団選手発表の際、「育成、栃木出身の岡田幸文選手です」
の紹介を受け、

大きな声で「ゴメンネゴメンネーー!!」と、第一声はU字工事の物まねで登場した度胸を持つ岡田だが、日本シリーズの舞台はそれほど甘いものではなかった。

第1戦は、いい当たりを放つものの荒木などの好プレーに阻まれ、流れを止めてしまう。

第2戦、3戦ともチャンスで打席を迎えたが、0-2からのバッッティングカウントで低めのボール球に手を出し芽をつぶしてしまいヒーローになり損ねた。

翌日、またチャンスの打席でまた0-2。

すると今度は後遺症なのか、反対に甘い球に手を出すことができなかった。

第5戦の試合前に本人から、 「やはり振らなければいけないカウントで動かなかったら何も起こらない。気持ちを強く持って自分の形で振る」 という決意を直接聞けた。

それだけにこのチャンスでの打席は、個人的に釘づけにさせられた。

2死2塁。投手は4イニング目の浅尾。

初球、、インハイストレート、、、ボール。

2球目、、インハイストレート見送り、、ボール。

0-2

またもや決意のバッッティングカウントになった。

浅尾の3球目はまたストレート、岡田はひるむことなく振った。

ファール。

ボテボテの打球が一塁側のファールグラウンドに転がる。

しかし、しっかりとバットを出すことができた。

4球目は外側に外れ1-3となった。このカウントも打者有利のバッティングカウントだ。

しかし、一塁が空いている。
谷繁はきっと「歩かせてもいい、手を出してくれたら儲けモノ」と、際どいボールで攻めてくるだろう。
 
「一塁空いてるぞ、ボール球に手を出すな」

と心の中で必死に祈ると、なんと真ん中ベルトの高さにストレートが来た。

「カーン」

迷いなく自分の形で振り切った打球は、懸命に背走するのライト野本の頭上を越えワンバウンドでフェンスに到達した。

決勝タイムリー3塁打!!

三塁ベースに迎え入れた上川コーチの大喜びの姿がユーモラスだ。

8-7

その裏、キレキレの伊藤が一人もランナーを出さずにピシャリと締めた。

最後の打球はショートゴロ。またもキャプテン西岡のところに向かっていった。


延長12回 8-7 試合終了時刻時午後11時5分。

試合時間4時間56分。 昨日の第6戦には及ばなかったが日本シリーズ史上第2位の長時間試合となった。

ちなみに、同じく延長となった第4戦が4時間41分。

日本シリーズ長時間試合ベスト5のうち3試合が今シリーズでの記録となった。

長い長い死闘の末、5年ぶりの歓喜が訪れた。

その瞬間、真っ黒に染めつくしたレフトスタンドから紙テープが投げ込まれ、勝利を祝うカーテンが出来上がった。

マウンドにナインが駆け寄る。
負傷の大松も「おんぶ」されながら輪に加わる。

日本一の闘将なった西村監督は、3度宙に舞った。

CSファイナルに続く今季二度目の胴上だ。

私が、キャンプから提唱し続けた「西村監督が秋に『理想の上司№1』になる」が、本当に実現し、熱くこみ上げるものがあった。

お立ち台の上で、西村監督は優勝までの1年間を振り返りこう語った

「選手、コーチ、スタッフ、ファンの皆さんと、本当に一つになって戦えました。」

他球団のファンでさえ覚えてくれた、今年のロッテのチームスローガン『和』
この名古屋の地で僅か就任1年で見事に結実させた。

MVPは今年も今江。

27打数12安打 6打点。

この日も4安打を放ち、2005年の2試合連続4安打と合わせ、3度目の1試合4安打はシリーズ記録だ。

なんでこんなに日本シリーズに強いんだろう?
打席で派手な空振りの後、ニッコリ笑ったのを捕手の谷繁に見つかり

「おまえ、楽しそうやなあ」

と呆れられたらしい。

流れが変わりそうな難しい打球もことごとく捌き、守備でも貢献しました。

日本中を驚かしたルーキー清田と連日好投を見せた救世主、内がそれぞれ優秀選手賞を獲得。

自信を胸に来年はさらに一皮むけたプレーを見せてくれそうだ。

宿舎に戻り、深夜1時から始まったビールかけは笑顔であふれていた。

その後シャワーを浴び、我々文化放送のインタビューブースに現れた西村監督に、斎藤アナはこう訊いた。

「胴上げの瞬間、何が見えました?」

すると西村監督は笑顔でこう答えた。

「天井が見えました」

そうか、そういえば福岡も名古屋もドーム球場だった。

やはり、来年はリーグ優勝して、初の地元千葉での優勝胴上げを拝んでみたいものだ。

監督1年間お疲れさまでした。

選手のみなさん、ありがとうございました。

来年も感動をよろしくお願いします。

もちろん共に闘いますよ。

その前に今週土曜日、東京ドームでの韓国代表SK戦に勝ち、これまた5年ぶりのアジアチャンピオンを勝ち取りましょう。

ん?この胴上げもやはり、天井が見えるんだな。


                             かわのをとや

投稿者 文化放送スポーツ部 : 2010年11月08日 06:25

当WEBサイトの全てのコンテンツの著作権につきましては、文化放送に帰属します。
Copyrightc2007,Nippon Cultural Broadcasting Inc. All right reserved.
なお、当サイトに掲載しているコンテンツ(画像・テキスト)の再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。