今夜のマリーンズ

« 2010年10月 | メイン | 2011年04月 »

2010年11月14日

日韓クラブチャンピオンシップ2010

3-0

点差以上の圧勝だった。

韓国チャンピオンSKワイバーンズを迎えての大一番の先発は、先の日本シリーズ第4戦で4回降板と、悔しい思いの唐川。

シーズン終盤で離脱を余儀なくされた肘痛の不安も、年内じゅうに払しょくしておきたいところである。

先頭打者にいきなりレフト線を破られピンチを迎えるが、後続を断ち立ち上がりは無失点。

球にばらつきはあるものの緩急を自在に使い、試合前の打撃練習では豪快な打撃を見せ、観客を驚かせたSK打線にフルスイングを許さない。

いまだ日本一の余熱を帯びた三万二千を超えるマリンズサポーターもも左団扇で打線を援護する。

すると2回里崎の内野安打をきっかけに、岡田は投手強襲ヒット。西岡は歩いて満塁。

このチャンスに日本シリーズで一躍全国区に名を挙げた清田が、好調持続のセンター前2点タムリー!

大きな勇気をもらった唐川は、5回を2安打無失点の好投。来年こそは最低10勝の働きを予感させてくれた。

唐川が責任を果たせば、今度はシリーズ男今江が責任感を発揮する番だ。

相手2番手の左腕金からレフトスタンド最上段に飛び込むお祭りソロを放てば、球場が全体がゴリにつられて笑顔になった。

6回からは薮田、内、伊藤の日本一継投で一人の走者も許さない。

そして8回裏のマリーンズの攻撃。

この打席がおそらく日本最終打席になるであろう西岡の名前を、マリンの名物うぐいす嬢、谷保さんがコールすると、今年チームを引っ張り続け日本一の歓喜をプレゼントしてくれたキャプテンに、労いとメジャーへの旅立ちを祝福する大きな拍手が沸き起こった。

結果は三振だったが、ここでさらに大きく温かい拍手の渦が巻き起こった。
ここで両手をたたいた者は、この感動の1年を決して忘れないだろう。

「キャプテン本当にごくろうさま。そしてありがとう。

メジャーで日本人野手のポテンシャルを見せてやれ」

もう一人、この試合を最後にチームを離れ、同じくメジャーを目指す小林宏が9回のマウンドに上がった。

もう、マリンのユニフォームでの勇姿は見られない。

コバヒロも2人を簡単に打ち取り、最後の打者もアウトコースに見逃しの三振でゲームセット。

「ありがとうコバヒロ。いつも少しだけハラハラさせられたけど、勝利の笑顔がカッコよかったぜ!」

シーズン144試合、クライマックス対西武2試合、対ソフトバンク6試合、日本シリーズ対ドラゴンズ7試合、日韓クラブチャンピオンシップ1試合、全160試合の長い長い感動の1年が終わった。

福岡、名古屋に続き3つ目のドームでの胴上げはついに見せてはくれなかったが、西岡が改めて帽子をとりファンに深々とお辞儀をした。

試合終了後30分以上たっても、一万をゆうに超えるマリンズサポーターは名残惜しそうに応援歌を歌い続けた。

主力が抜け来季の戦力は未知数だが、念願のリーグ優勝を果たし、日本シリーズに進出して地元千葉での胴上げを見たいものだ。

それにしても、マリンの名前、何になるのかな?

                          かわのをとや

投稿者 文化放送スポーツ部 : 04:56

2010年11月08日

2010年日本選手権シリーズ マリーンズ史上初3位から優勝

我が千葉ロッテマリーンズが2010年の日本一に輝いた。
2005年以来5年ぶり、通算4度目の栄誉である。

クライマックスシリーズ制度後初の、リーグ戦3位のチームが日本シリーズで優勝を果たした。

強かった。立派な勝利であった。

シーズン最後の負けられない3連戦に勝ち、西武とのCS1stステージでは2試合連続で劣勢の9回からの同点劇を演じ。そして見事に逆転で連勝。

完全に勢いをつかみ福岡に乗り込むと、ホークスとのCSファイナルでは、完全アウエーの中、1勝のアドバンテージをものともせず4勝をあげ日本シリーズ出場権を獲得した。


11月7日。マリーンズの3勝2敗1分けで迎えた日本シリーズ第7戦は、第4戦、第6戦に続き、またも延長戦となった。

マリーンズ渡辺俊介、ドラゴンズは吉見の先発で試合は始まったが、互いに打ちこまれ6回までに6対6。

序盤リードのドラゴンズを、マリーンズが中盤に粘り強く追い上げてきた。

7回、2死から今江がレフト前ヒットを放つと、和田の2塁への返球が乱れ、思わぬチャンス到来。得点圏にランナーが進んだ。

ここで、続くキムテギュンが綺麗にセンター返しを決め勝ち越し点をもぎ取ると、6回から3イニングを任された内は7奪三振の好投で、守護神コバヒロのために最終回の舞台を整えた。

7-6

1点リードで迎えた9回裏のマウンドには今オフFAでメジャーを目指す小林宏之。ひょっとするとこれが日本で最後の登板となるかもしれない。

前夜の登板では久しぶりに指にかかった力強いストレートを投げ込んでいただけに、いい形で今シーズンを締めくくりたかったはずだ。

しかし、ドラゴンズにも意地がある。
50年ぶりのリーグ優勝からの日本一を勝ち取るためにも、パリーグ3位のチームには絶対に負けたくないはずだ。

案の定、ドラゴンズは先頭の和田が吠えた。これほど追い込まれた状況でもこのベテランは小手先に頼ることなく初球をフルスイングでファール。2球目もストライクで簡単に追い込まれるが、ボールを2つ選ぶ。
そしてまたフルスイングのファールで2球粘ると、決めにかかったコバヒロが投げ込む7球目のストレートを思い切りしばき上げた。
快音を残した打球は左中間にグングンと伸びていく。

声を張り上げガッツポーズをしながら走り出す和田。しかし、打球は僅かにスタンドには及ばず、フェンス直撃の3塁打となった。

一気に同点とはいかなかったが、無死3塁。ドラゴンズにとっては千載一遇のチャンス。これを足がかりにサヨナラだってあり得ます。

続くブランコは、すぐさまセンターの頭を越えようかという鋭い当りを放ち、タッチアップの和田をホームに呼び込んだ。

あっという間の土壇場での同点劇である。

7-7 

全く、なんという日本シリーズだろう。

後続の打者はなんとか打ち取ったものの、またも延長戦に突入だ。

もしも、昨日に続き延長15回引き分けになれば、翌日にまたこのナゴヤで第8戦を行い、その試合をドラゴンズが勝利すると両チームとも3勝3敗2分けのタイとなる。
その場合はまたマリーンズの本拠地千葉に戻り、水曜日の第9戦で決着をつけるという前代未聞の戦いとなる可能性だってあるのだ。

「そんな馬鹿な」と思いつつも、現実に昨日の15回引き分けを目の当たりにしているので、おいそれと否定もできない。

千葉での第5戦で、ドラゴンズ先発の中田賢が、早々にマリンガン打線に捕まってしまったものの、敵将落合監督は「今後のために」と中継ぎ投手を温存し続け、シリーズワースト9失点の中田賢をさらしものにし続けたあの非情采配が、ここにきて意味を持ち始めたのが薄気味悪かった。

だがその心配は12回に消えた。

マリーンズの攻撃。この日4安打の今江は警戒の四球で出塁すると。11回から登板の伊藤が予想外の美しさでバントを決め2塁に送る。

期待の里崎はショートゴロに倒れたが、ここで打席には育成出身の岡田が入る。

すでに家庭を持っていたが「2年だけやらせてくれ」と栃木に妻と2人の娘を残し、単身赴任で汗を流して来た。

今季前半大ブレークしたものの5月に半月板損傷で戦列を離れた快速ルーキー荻野の代役として2年目の今年初めて1軍登録。
交流戦、東京ドームでの巨人とのデビュー戦ではいきなりタイムリーを放った。

一時はレギュラーをつかみかけたが、成長著しいもう一人のルーキー清田の台頭と、2割を超えない打撃の影響もあり守備固めでの起用が増えていった。

しかし、出番はいきなりやってきた。
初戦で大松が最初の打席でいきなりライトフェンス直撃のタイムリー2塁打を放ったものの、2塁に駆け込む際に太ももに軽い肉離れを覚え今シリーズ中の復帰が微妙となったのだ。

2年前、200人の観客を前に行われた新入団選手発表の際、「育成、栃木出身の岡田幸文選手です」
の紹介を受け、

大きな声で「ゴメンネゴメンネーー!!」と、第一声はU字工事の物まねで登場した度胸を持つ岡田だが、日本シリーズの舞台はそれほど甘いものではなかった。

第1戦は、いい当たりを放つものの荒木などの好プレーに阻まれ、流れを止めてしまう。

第2戦、3戦ともチャンスで打席を迎えたが、0-2からのバッッティングカウントで低めのボール球に手を出し芽をつぶしてしまいヒーローになり損ねた。

翌日、またチャンスの打席でまた0-2。

すると今度は後遺症なのか、反対に甘い球に手を出すことができなかった。

第5戦の試合前に本人から、 「やはり振らなければいけないカウントで動かなかったら何も起こらない。気持ちを強く持って自分の形で振る」 という決意を直接聞けた。

それだけにこのチャンスでの打席は、個人的に釘づけにさせられた。

2死2塁。投手は4イニング目の浅尾。

初球、、インハイストレート、、、ボール。

2球目、、インハイストレート見送り、、ボール。

0-2

またもや決意のバッッティングカウントになった。

浅尾の3球目はまたストレート、岡田はひるむことなく振った。

ファール。

ボテボテの打球が一塁側のファールグラウンドに転がる。

しかし、しっかりとバットを出すことができた。

4球目は外側に外れ1-3となった。このカウントも打者有利のバッティングカウントだ。

しかし、一塁が空いている。
谷繁はきっと「歩かせてもいい、手を出してくれたら儲けモノ」と、際どいボールで攻めてくるだろう。
 
「一塁空いてるぞ、ボール球に手を出すな」

と心の中で必死に祈ると、なんと真ん中ベルトの高さにストレートが来た。

「カーン」

迷いなく自分の形で振り切った打球は、懸命に背走するのライト野本の頭上を越えワンバウンドでフェンスに到達した。

決勝タイムリー3塁打!!

三塁ベースに迎え入れた上川コーチの大喜びの姿がユーモラスだ。

8-7

その裏、キレキレの伊藤が一人もランナーを出さずにピシャリと締めた。

最後の打球はショートゴロ。またもキャプテン西岡のところに向かっていった。


延長12回 8-7 試合終了時刻時午後11時5分。

試合時間4時間56分。 昨日の第6戦には及ばなかったが日本シリーズ史上第2位の長時間試合となった。

ちなみに、同じく延長となった第4戦が4時間41分。

日本シリーズ長時間試合ベスト5のうち3試合が今シリーズでの記録となった。

長い長い死闘の末、5年ぶりの歓喜が訪れた。

その瞬間、真っ黒に染めつくしたレフトスタンドから紙テープが投げ込まれ、勝利を祝うカーテンが出来上がった。

マウンドにナインが駆け寄る。
負傷の大松も「おんぶ」されながら輪に加わる。

日本一の闘将なった西村監督は、3度宙に舞った。

CSファイナルに続く今季二度目の胴上だ。

私が、キャンプから提唱し続けた「西村監督が秋に『理想の上司№1』になる」が、本当に実現し、熱くこみ上げるものがあった。

お立ち台の上で、西村監督は優勝までの1年間を振り返りこう語った

「選手、コーチ、スタッフ、ファンの皆さんと、本当に一つになって戦えました。」

他球団のファンでさえ覚えてくれた、今年のロッテのチームスローガン『和』
この名古屋の地で僅か就任1年で見事に結実させた。

MVPは今年も今江。

27打数12安打 6打点。

この日も4安打を放ち、2005年の2試合連続4安打と合わせ、3度目の1試合4安打はシリーズ記録だ。

なんでこんなに日本シリーズに強いんだろう?
打席で派手な空振りの後、ニッコリ笑ったのを捕手の谷繁に見つかり

「おまえ、楽しそうやなあ」

と呆れられたらしい。

流れが変わりそうな難しい打球もことごとく捌き、守備でも貢献しました。

日本中を驚かしたルーキー清田と連日好投を見せた救世主、内がそれぞれ優秀選手賞を獲得。

自信を胸に来年はさらに一皮むけたプレーを見せてくれそうだ。

宿舎に戻り、深夜1時から始まったビールかけは笑顔であふれていた。

その後シャワーを浴び、我々文化放送のインタビューブースに現れた西村監督に、斎藤アナはこう訊いた。

「胴上げの瞬間、何が見えました?」

すると西村監督は笑顔でこう答えた。

「天井が見えました」

そうか、そういえば福岡も名古屋もドーム球場だった。

やはり、来年はリーグ優勝して、初の地元千葉での優勝胴上げを拝んでみたいものだ。

監督1年間お疲れさまでした。

選手のみなさん、ありがとうございました。

来年も感動をよろしくお願いします。

もちろん共に闘いますよ。

その前に今週土曜日、東京ドームでの韓国代表SK戦に勝ち、これまた5年ぶりのアジアチャンピオンを勝ち取りましょう。

ん?この胴上げもやはり、天井が見えるんだな。


                             かわのをとや

投稿者 文化放送スポーツ部 : 06:25

2010年11月07日

日本シリーズ最長試合!5時間43分の死闘は送りバント失敗合戦

10時40分をやや過ぎた頃だっただろうか、ナゴヤドームの電光掲示板に名古屋地区の終電案内が映し出された。

18時10分開始の試合はすでに4時間半を経過していた。

2-2 延長12回。

これまでのシリーズ最長記録は4時間49分。この試合が記録を塗り替えるのはほぼ間違いない。

歴史の証人として、この激闘の行く末を最後まで見届けたかった名古屋のファンも、後ろ髪をひかれながらスタンドの階段を登り駅を目指す。
携帯のワンセグに目をやりながらの人もいる。

この長い戦いは果たして、いつ終焉を迎えるのだろうか?いや、本当に決着がつくのだろうか?

マリーンズ3勝2敗で迎えた第6戦は、成瀬対チェンの先発で始まった。

予想に反し両者ともに初回に1点ずつ許す立ち上がりだったが、お互い2回からはピタリと立ち直る流石の投球。
成瀬は悔しさを滲ませながらも、6回を2失点で試合を作り、チェンも7回4安打1失点で自慢のブルペンに後を託した。

マリーンズ1点ビハインドの8回表、マウンドには外柔内剛のセットアッパー浅尾。
1死から好調清田が火の出るような右中間2塁打で出塁すると、ここで第5戦3安打でマリンの観客を盛り上げた4番サブローが、センター前に値千金の同点タイムリーを打ち返す。

浅尾で逆王手のシナリオを描いていたドラファンは落胆し、8,9回の攻撃も冴えを見せぬまま、試合は第4戦に続き、今シリーズ2度目の延長戦に突入していった。

最大の緊張は延長11回。
2イニング目に入った薮田が、突然の2四球を与え降板すると、なんと代わった古谷も四球。

2死ながら3四球で満塁。サヨナラの大ピンチを迎えてしまった。

こうなればベテランに頼る他ないと、西村監督は小野晋吾をコール。

しかし、なんとここで小野は、投球練習の初球をバックネットに直撃させた。

「ウオーー!!」ドラファンが驚き、異様な歓声を上げる大暴投。

二球目。

「ウオーー!!」
まるでリプレイを見るかのようにボールはまたもバックネットに。

3球目。
「ええーー!!??」
信じられない光景、まさかの2度目のリプレイ。またまたバックネットの同じ場所にボールを突き刺してしまった。
狙っているのなら逆に素晴らしいコントロールだ。

傍らで見守る西本コーチも、流石にたまらず小野に近寄り声をかける。

「うんうん」と落ち着いた様子で軽くうなづく小野晋吾。
しかし、気分を切り替え投じたはずの4球目は、里崎が右方向いっぱいに伸ばしたミットの先をかすめてやはり不吉な音を立てさせる。

・・・全くストライクが入らない。

こちらも「分かってますか?今2死満塁なんですよ」と言いたくなる。

ドラファンの期待は笑顔とともにどんどんと膨らんでいく。

果たして、再びプレイボールがかかれば、どんな光景が繰り広げられるのであろうか?

今の投球練習が本番だったら、押し出しどころか初球暴投でサヨナラ負け。ドラゴンズのホームで逆王手をかけられてしまう。

最後の5球目は里崎がキャッチできたものの、ストライクではなかった。


・・・・プレイボール。


打者はトップに戻り荒木。

赤いグラブにボールをセットした小野が投じた初球は、インコースにシュート。

ボール。

2球目、フォークで真ん中にストライク。甘い球だったが荒木の狙い球ではなかったようだ。

1-1

小野が3球目に投じた球は外角に吸い込まれていく。荒木は素直にバットを出すと、快音とともに痛烈な打球が右方向に飛び出した。

一瞬で、
ドラファンは「おーー!!」
マリンズファンは「あっ!!」

しかし、またその刹那の直後、

ドラファン「ああ~~」
マリンズファンは「おーー!!」

その打球はキムテギュンの守備固めで入った1塁手キムテギュンのミットに綺麗に収まりチェンジとなった。

身の毛はよだったが、なんとか修羅場を切り抜けた。

8回にマリンズが同点に追いついて以来、両軍スコアボードに「0」をならべ、試合は2対2のまま、規定により延長15回引き分け。ついに決着はつかなかった。

使用するスコアブックには12回までしか記録スペースはなく、中学生の時、記録しながらテレビ観戦した甲子園の「箕島」対「星稜」の延長18回以来、人生で2度目の「スコアブック2ページ目突入試合」となった。

その激闘のスコアブックを改めて見返すと浮かび上がってくるのは、両軍の送りバント失敗の数。

マリンズは初回の清田に始まり、10回の西岡、11回のサブローと3度の好機を無にし、対するドラゴンズは9回小池がバント2度打ち。10回の荒木、11回のバント代打岩崎とこちらも3度のサヨナラのチャンスにことごとくバントのミスが絡んだ。

これを単純に凡ミスと評する人もいると思うが、現場で見ていると、両軍ベンチの指示する、極端ともいえるバントシフトには凄まじいものがあった。

小フライを狙う執拗な内角攻めには気迫がこもり、今江、森野は転がせば完全に2塁でアウトにできる場所まで猛然と突っ込んでくる。

ならば基本通り1塁側にと思えば、キムテギュン、ブランコが巨体を浴びせにかかる。

下手にサインを切り替えて、打ちに行きダブルプレーになってしまうと、それこそ相手の思うツボ。
この試合どころかシリーズ全体の流れを相手に与えるプレーに直結するかもしれない。

それが分かっているから、またなおさらシフトが極端になる。

本当に大変だ。
つい、高校時代バントミスしてベンチで監督に小突かれたのを思い出してしまう。

ただ長いだけでなく、何か、いろんなことを思い出し、感じさせてくれる奥行きのある試合だった。

そういえば小学生のころはまだ日本シリーズはデーゲームだったので、学校が終わると、出場チームに関係なく3㎞強の道のりを猛ダッシュで帰り、7回くらいから必死に食い入って見ていた。
だから、延長戦になってくれると野球は一杯見れるし、興奮度も増すので嬉しくてたまらなかった。

「ついに照明に灯が入りました」 なんて言葉に瞳を輝かせたものだ。

試合終了時刻はもう少しで日付が変わる午後11時55分。

この日この試合を最後まで見た野球少年たちは、この熱き戦いを決して忘れることはないだろう。

2010年の日本シリーズは、本当に盛り上がってきた。
名古屋のファンは熱いが、負けずにすんだこの引き分けで、マリーンズの有利は変わらない。

史上最高の下剋上まで、あと一つ。

                          かわのをとや
                          

投稿者 文化放送スポーツ部 : 09:28

2010年11月05日

史上最大の下剋上へ王手!

猛打爆発!

15安打10得点先発全員安打のの猛攻。
最終回無安打で惜しくも毎回安打はならなかったが、この試合で「千葉マリンスタジアム」の名称としては最後となる地元での今季最終戦を、大きな花火とともに祝った。

何といっても大きかったのは、初回の4点。

ドラゴンズに1点は先制されたものの、前夜の延長負けのショックは微塵も感じられなかった。

西岡が鋭い打球でセカンドエラーを誘ってチャンスメイク。

清田は三振に倒れたが、井口は中田のシュートを技ありのレフト前ヒット。

4番サブローは、ショート荒木のグラブをかすめる内野安打で満塁。

このオイシイ場面でシリーズ男、今江がレフト線に2点タイムリー2塁打。

すると今度は福浦が1,2塁間を破り3点目。

さらにキムテギュンは、痛烈な当りをセンター前に運びます。

なんと、いきなりの5連打。電光石火の攻撃で瞬く間に4点を奪った。

しかし、前夜の延長10回1死満塁の場面で守備固めで3塁に入るや否や、天才的な守備位置で福浦の打球をダブルプレーに処理した堂上が、この日は初回先頭西岡の打球を弾いたことから大量失点を招くとは、野球とは、また日本シリーズとは、つくづく本当に恐ろしいものである。

これで完全に流れはマリーンズ。4回には不調だったサブローに貴重な2ランが飛び出し試合を決めた。

結局サブローは3安打。キムテギュンは4安打。この二人の復調は名古屋では頼もしい。

清田もまた2打点を挙げ日本シリーズ新人打点記録タイの「6」に並んだ。MVPの期待もかかる。


楽勝ムードはおろか、前夜大量のリリーフ陣をつぎ込んだ影響で、9失点もしながらリリーフを出してもらえないドラゴンズ中田の姿に同情さえしてしまう試合となった。

ドラゴンズバッテリーはマリンズ打線の思い切りの良さを恐れ、0-2(ボール)のカウントになると極端にサイン交換の間が長くなる。

対するマリーンズの先発ペンはよく頑張った。

6回途中被安打5、失点1

負ければ向こうに王手をかけられる大事な試合で、プレッシャーをはねのけ試合を作ってくれた。

ストレートの伸び、キレはともに抜群。ナックルカーブも冴え、効果的相手打線を翻弄した。

最終戦を堪能したマリンズサポーターは、試合後のスタンドで名残惜しそうにいつまでも応援歌を歌い続けた。

さあ、決戦は名古屋後で。

スタジアムの正面玄関を出ると、一番最初に目に飛び込んできたのは、チームスローガンである「和」のノボリと、その脇に燃え上がる松明の炎であった。

その様相はまるで戦国時代の陣営。

CS3位から這い上がってきた史上最大の下剋上は、あとたった一つの勝利で達成される。

頼むぜ成瀬!


                  かわのをとや

投稿者 文化放送スポーツ部 : 13:49

2010年11月04日

4時間41分の大勝負!! 

いやあ、凄い試合だった、盛り上がった、面白かった。

マリーンズの2勝1敗で迎えた日本シリーズ第4戦。

勝てば先に王手をかけられる大事な一戦。

8月26日以来となる先発唐川のコールに驚かされ始まったこの試合は、終わってみれば延長11回、シリーズ史上3位となる4時間41分にも及ぶ大熱戦となった。

正直このシリーズ、「日本列島的に盛り上がっているのかな?」という不安があった。

第1戦、第2戦とも史上初の地上波中継無し。いくらBS,CSの普及が進んだといえどこの事実は悲しい。

第3戦までの戦いも序盤にドーンと点が入るが、後半は得点が動かず流れのまま試合が終了し、最後までもつれる緊張感あふれる接戦はなかった。

しかし、お待たせしました。今日はもつれましたよ。

ああすればこうする。こうすれば、ああする。
見どころたっぷり、両監督の采配の妙が詰まった、少年時代の記憶にある、あの日本シリーズのワクワク感だ。

先制点はマリーンズ。3回裏、前夜ヒーローになり損ねた岡田がヒットでチャンスを作ると、西岡のタイムリーで生還。
さらに井口が、サポータ-に呼び込まれるようにライトスタンドに2ランを放ち3点目。

スタンド中が今日の勝利はおろか、明日の胴上げをも夢見る。

サブローの打席では、「この寒さなのに45歳の半袖左腕」の山本昌が、この回2度目となる信じられない超スッポ抜け暴投を披露、勢いでさらに大量点を加え続けるのでは?と思っていたが、得点はここまで。

すると4回、唐川の投球は高めに浮き始め、森野、和田に連続長打を浴びると、1失点でお役御免。
代わった「左のツイッター」つぶやき投法、古谷は、犠牲フライを許し1点差に迫られると、小野にマウンドを託す。

ベテランの風格でしっかり火消しをした小野だったが、またいだ5回、自身のエラーに死球を重ね、さらに内野との連係ミスで送りバントをヒットにさせ無死満塁の大ピンチ。
なんとか井端を併殺に打ち取るが、その間に生還を許し同点。

3-3

その後は、マリーンズは小野が、中日はネルソン、三瀬、河原が丁寧な投球でしっかりと試合を落ち着かせ7回が終了。

8回からは「救世主」内が登場!
2死後、森野に2塁打を許すも、ブランコを高速スライダーで三振。

その裏マリーンズは、先頭清田がヒットでチャンスを作るが、福浦が打ち上げ悔しいチェンジ。

9回表、内はまた2塁にランナーを背負うも大島をセカンドゴロに打ち取りピンチを切り抜ける。

9回裏、先頭キムテギュンがセンター前ヒットで出塁すると、里崎はバントで、ランナー2塁。ここで、岡田は倒れるも、キャプテン西岡に打順が回る。

すると、何と落合監督が自らマウンドに向かい浅尾に「西岡と勝負するか、清田と勝負するか自分で決めろ」とテーマをはっきりさせる。

そして浅尾の選択は西岡。初球は渾身のストレートをフルスイングのファール。真っ向勝負の2球目151キロのストレートを見事にレフトにはじき返した。

大歓声の中、西岡は右手を突き上げる。

誰もがサヨナラ勝ちを確信した。
この時ベンチレポートの私も居並ぶ他局のアナウンサーたちも「よしっ!!」と思わず声が出た。

しかし、打球はレフトポールのわずか数センチ左側を通過し、フェンスに直撃。

線審は無情にもファールのゼスチャーを見せた。

同じくサヨナラを確信し、お立ち台をグラウンドに全力で用意しようとするスタッフの方たちが、別のスタッフにこれまた全力で呼び止められていたのを目撃することとなった。

西岡は、フルカウントまで粘るもフォークを空振り。 延長戦を迎える。

シーズンと違い日本シリーズの規定では延長は15回まで投手起用が難しくなってくる。

10回のマウンドには伊藤。
荒木、井端を簡単に打ち取るが、森野には四球、続く和田にセンター前に運ばれピンチに。
しかし、開き直った球のキレは抜群。三振に打ち取る。

その裏マリーンズは、最大のチャンスを迎える。
清田が死球で出塁。続く井口は平凡なライトフライかと思いきや、なんと名手英智が目測を誤り、2、3塁まで進ませてくれた。

どんなことがあっても1点は入るだろうという状況だったが、サブローは犠牲フライにあとわずかのレフトフライで1死。

すると落合監督はここで初めて今江を歩かせ満塁策をとる。

さあ、前の打席で返せなかった福浦がなんとかしてくれるだろうと思っていると、ドラゴンズは計ったように投手を左の高橋にスイッチ。さらに三塁に守備固めの堂上を配した。

お互い火花が散るほどのせめぎ合いでフルカウントに。

延長10回1死満塁2-3 ボールなら押し出しサヨナラ勝ち。

「どうなるのか!?」

福浦が、高橋が真ん中を狙って投げたストレートーをレフト戦に弾き返す。

すると、なんとそこには守備固めの堂上が正面で待ち構え、捕球するとすぐさま3塁ベースを踏みダブルプレー。

この目を疑う、まさかまさかの「0点劇」だった。

試合は、11回の攻撃で大島のタイムリーが岡田の頭上を越え勝ち越しを許し、マリーンズは抑えの岩瀬からもう1本が奪えずゲームセット。

負けは悔しいが、流石に日本シリーズ。私にとっては今年一番の好試合に巡り合えた。

残念ながら、西村監督の地元での胴上げはかなわなかったが、これで2勝2敗のタイ。

第5戦以降、再び息詰まる試合を制してのリベンジが見たいものだ。

                        かわのをとや


投稿者 文化放送スポーツ部 : 07:58

2010年11月03日

日本シリーズ第3戦 バカボンは天才だった

またこの男がお立ち台に立った。

ドラゴンズとの対戦成績は2勝1敗。

勝ち試合のヒーローは二度ともこのルーキーなのだ。

その男の名は清田育宏。

愉快なキャラクタ―とその風貌から、チーム内では「バカボン」と呼ばれ可愛がられている。

バカボンが主役に躍り出たのは1-1で迎えた4回。
好投の山井は、先頭福浦に右中間2塁打を許すと、突如コントロールを乱し、2死満塁のチャンス。

そこで打席に立ったのが、清田バカボン育宏なのだ。1回にも山井のシュートをしぶとくセンター前に弾き返している。

「0-2になったので、必ずストレートが来ると絞って待ってました」

読みはズバリ!しかし、高めのボール球。ところが今のバカボンが「これでいいのだ」と決めたのならばそれでいいのだ。思い切りよくバットを振れば、強い打球がタリラリラ~ン。背走する大島の頭を超えフェンスに到達なのだ。

走者一掃の3塁打なのだ。続く井口のタイムリーまで呼び込む価値ある決勝打なのだ。

ナインの祝福を受けた後、いったんベンチ裏に姿を現した時、ロッテOBで東洋大の先輩であり、自身を指名に導いた山下スカウトと喜びのハイタッチを交わした。

ちょうど1年前、ドラフトで4位の評価ではプロ入りしないと頑なな態度を見せたこともあったが、

きっと今ならママも、

「バカボン、マリーンズに入ってよかったね。」

と、やさしい声をかけてくれるに決まってるのだ。

西村指揮官も

「もともと思い切りのいいバッターだが、この日本シリ-ズという大舞台で、ルーキーなのに大きな仕事をしてくれる。大したもんですね」

頼もしそうに目を細めながら笑みを浮かべていた。

やっぱりバカボンは天才だった。

一応確認しておくが、清田が似ているのは「パパ」ではなく、あくまで息子で浴衣の「バカボン」なのだ。

もう一人の天才は、アンダースローの天才、渡辺俊介。

このサブマリンは打てまい。

千葉マリン特有の風がシーズン中ほど強くないと見るや、得意のカーブの割合を抑え、ストレートとシンカー主体で攻め込み、9回完投被安打5、失点1。わずか97球で投げ切った。
スタンカ以来46年ぶりの100球未満完投勝利である。
5年前の完投に続き、日本シリーズで、2試合連続無四球完投は史上初。
記録づくめのナイスピッチだった。

西武とのCS第2戦、ホークスとの第4戦と3戦連続で見事な投球を披露したが、この日はまさに「カンペキ」だった。

レギュラーシーズン終了の声を2軍で聞いたとはとても信じられない、衝撃の復活だ。

来年の春にWBCがあればいいのに。

この投球を見て、仮に、あくまで仮の話だが、明日の第4戦、そして5戦に連敗しても、6,7戦で成瀬、俊介の先発でこのシリーズを制覇できるという計算が立ってきた。(ニンマリ)

ただ、やはり一か月振りに戻ってきた地元マリンの雰囲気は素晴らしい!
そして、やはり本当にファンがともに戦っている!

ここでなら戦士はみんな力を発揮できる。

お願いだ、ペン!唐川!連勝で念願の胴上げを地元で見せてくれ。

投稿者 文化放送スポーツ部 : 10:13

2010年11月01日

日本シリーズ第二戦  え~、、、無かったことにしましょう。

待ちに待った2010年日本シリーズ第1戦は、我が西村マリーンズが13安打で快勝!

あの伝説のミスター長嶋以来の、清田ルーキー日本シリーズ第1戦本塁打!

シリーズ男今江は、決勝打を含む猛打賞で今年も大活躍!

第4戦、第7戦の先発も予感させる成瀬の好投!

さらに、74年の日本シリーズ第4戦、5戦、6戦の3連勝、そして2005年のシリーズ4連勝に加え、昨日の勝ちで、なんと日本シリーズ8連勝中という破竹の快進撃を続けるマリーンズ。

地元千葉での胴上げ実現のためにも、「今日もこの勢いで頼むぞ」と、鼻をふくらませて臨んだ第2戦でありましたが、

ふたを開ければ、マリンーズ初回三者凡退の後、先発マーフィーはいきなり先頭荒木にレフト前に運ばれます。すると森野にも続かれ、4番和田に先制タイムリーを許します。

まあ、1点、2点は大丈夫。勢いはこちら。じっくり攻めていけば昨日のように逆転できると余裕モードで見ていたら、ここから予期せぬ事件が、、。

野本の打ち取った打球はセカンド井口の前にボッテリと転がり、「チェンジ」と思いきや、猛ダッシュの井口は捕球後、目の前のランナーにもタッチできず、慌てて投げた一塁に暴投で満塁のピンチ。

さらに谷繁に押し出しの四球で悪い雰囲気の2点目。大島にも2点タイムリーを許し、よーいドンでいきなりの4点を献上してしまいます。

それでも、「今のマリンガン打線なら、、」と期待をかけるも、初回から全力投球のドラゴンズ先発チェンの速球に差し込まれ、3回までキムテギュンの安打1本に抑えられます。

対照的にドラゴンズは3回まで毎回満塁のチャンスを活かし、あれよあれよと、なんと10点も奪ってしまいました。

3万8千のドラゴンズファンが得点のたびに繰り返す万歳コールを、目の前で何度見せられたことか。

実は私、2回、再び和田に2点タイムリーを浴び6点目を与え、マーフィーが降板したところから、意識をしっかり持つことを諦めてしまいました。

正確にいえば、これ以上の感情移入を止め、どんな攻撃を受けようが、またこちらがどんなミスをしようが一喜一憂することなく、何も感じないよう努力する方が、第3戦からの戦いを有利に運べる。
ナゴヤドームの記者席で一人、そう判断したのです。
もちろん一度もトイレに立つことも、うたた寝するわけでもなく最後まで見届けはしていましたが、意識だけはどこか遠くへ追いやる。

学校一恐い先生の説教を、心の中で鼻歌を唄いながら聞くふりをする、あの感覚です。

どうやら、試合終了したときには、1-12だったようです。

どうやら、我が軍も、今江のタイムリーで1点入れたみたいです。

シリーズに強いですね。


試合後、落合監督は地元で連敗しなくてよかったとかなんとか、まあ、そんな類いのことを語っていました。

ともかく、この試合は忘れましょう。

この試合は無かったことにしましょう。

千葉に帰れば、大応援団に囲まれて全く別モノの雰囲気で戦えますから。


シリーズ連勝記録は8で途切れてしまいましたが、地元で3連勝して、地元で胴上げやりましょう!

1か月ぶりのマリン。

みなさんの後押し期待してます。

僕もベンチレポートで気合いを注入します。

                
                          かわのをとや

投稿者 文化放送スポーツ部 : 12:13