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2010年03月18日

鹿芝居「死神」

いささか旧聞になってしまうが、毎春恒例、国立演芸場主催の「鹿芝居」公演
に行ってきた。(2月11日~20日 国立演芸場)

今年の出し物は「死神」。
林家正雀(ペンネーム、竹の家すずめ)の作演出の新作で、落語の
「死神」を下敷きにしながら、まったく違うストーリー構成になっている
ところがよかった。
(落語では大詰めの蝋燭の場面が前半に来て、そこで死神が寿命の仕組み
を教える)

役者のなかで光っていたのが大店の若旦那役、金原亭世之介。
このひと、数年前の「七段目」(これは鹿芝居としても傑作だった)の伴内
もよかったが、芝居っ気があり、軽く、それでいて陰影もあり、貴重な
持ち味だと思う。
(その昔、駒平時代には「欽ドン」にも出ていた。どういう経緯で選ばれたのか
知らないが、「欽ドン」に世之介、そして素人時代の喬太郎が出ていたという
のは選び手の慧眼を感じさせる)
それと毎年のことだが女形の林家彦丸がキレイ。
歌舞伎でも通用するレベルだ(見た目は)。
本来は暗い物語だが、最後は「釣り女」のパロディになって明るく打ち出し。

鹿芝居の上演にはお金がかかるので個人ではなかなか実現できない。
国立演芸場が毎年恒例の企画として十日間の公演をしているのは良いことだと
思う。

去年が「らくだ」今年が「死神」。楽しかったが、本来の鹿芝居は古典作品を
もどいてやるところに面白さがあると思う。
このメンバーでは忠臣蔵の五段目六段目がまだ未上演と聴く。
来年はぜひ古典劇を!と希望したい。

松本尚久(放送作家)


写真1 死神・金原亭馬生  若旦那・金原亭世之介
写真2 女中・林家彦丸
写真3 女中・彦丸と丁稚・金原亭馬吉の合いびき。
shika2010111.jpg

金原亭世之介さんのブログ


投稿者 落語 : 2010年03月18日 23:14