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2009年09月10日
古今亭志ん朝im「サライ」
みなさま。
もう今月号(10月号)の「サライ」(小学館)はお読みいただきましたでしょうか?
「サライ」ではたびたび落語特集をしてまいりましたが、
今回は「”最後の名人”63年間の軌跡を辿る」と題しまして、
2001年にお亡くなりになった古今亭志ん朝師匠の特集を組んでいます。
内容は・・・
名人一家に生まれて ─── 志ん朝の軌跡
俳優・寺田農が語る 熱情
名古屋・大須演芸場席亭が語る 人情
愛弟子・古今亭志ん橋が語る 真情
というものです。
寺田農さんは志ん朝師匠がのり平劇団などに出演し、芝居の演出を
落語にうまく吸収したと指摘。たしかに志ん朝さんの「文七」は芝居の
ようでありました。有名な大川端の演技はDVDで確認できます。
(志ん朝さんは、のり平劇団では文七が持ち役。長兵衛ではなく、手代の
文七からの視点がよく出ている演出です)
また、落語家・志ん朝のために、芝居ではあえて限定された役柄だけを
与えた三木のり平。やはり凄い人です。
また十年にわたって三夜独演会を開催していた、名古屋・大須演芸場
足立席亭の回想、写真なども貴重です。
わたし、大須の独演会はもちろん知っていましたが、行ってはいませんでした。
無理してでも行っておくべきでしたね。
志ん朝さんは、80年代中盤以降「首都圏での独演会をしない」という方針
でしたので、まず、独演会自体が非常に貴重。それが毎年三夜連続ってのは
途方もない贅沢です。
そのほか、付録CDに「三枚起請」を収録。
亡くなる前年、2000年のテイクです。(朝日名人会)
「三枚起請」の解説を私、書かせていただきました。
志ん朝特集の「サライ」。
ぜひお読み下さい。
サライ公式サイト http://blog.serai.jp/contents/saisingo/index.html
松本尚久 (放送作家)
投稿者 落語 : 23:48
2009年09月07日
浜松町かもめ亭 八月公演はコワオモシロイ会でした!
夏の終わりの8月28日(金)、文化放送メディアプラスホールにて第33回「浜松町かもめ亭」が開催されました。
今回は毎夏恒例の「怪談噺の会」。
番組は以下の通りです。
一、春風亭朝呂久 「出来心」
一、林家正雀 「真景累ヶ淵 豊志賀~お久殺し」
中入り
一、三遊亭白鳥 「メルヘンもう半分」
まず中入り前は正雀師匠による本格怪談噺「真景累ヶ淵」。
三遊亭圓朝作の代表作であり、落語の長編怪談噺を代表する作品です。
今回はその中でも口演頻度が高い「豊志賀」の部分を中心に口演して
くださいました。
ちなみに、偶然ですが八月の歌舞伎座でも「豊志賀」が上演され、こちらは
中村福助丈の豊志賀、勘太郎さんの新吉でした。
正雀師匠の口演は「男嫌い」で知られる富本節の師匠、豊志賀が、若い弟子、
新吉によってはじめて男を知り、我を忘れて夢中になっていくくだりから、
女弟子、お久に対する疑念、嫉妬の感情の芽生えを細密に描いていきます。
続いて豊志賀に嫌気がさした新吉が、寿司屋の二階でお久と二人きりになる
ところへ豊志賀が姿を現す超常現象や、続いておじさん宅での駕籠の不思議、
豊志賀の死までを硬質なトーンで一気に口演。
その後、お久と一緒になった新吉が羽生村へ向かう途中で起きる恐ろしい怪異と
殺人は下座入りの芝居仕立てで口演。
幽霊のおそろしさと演出様式の面白さで、ホール内は大いに盛り上がりました。
八代目正蔵譲りの怪談噺を堪能させてくれた一席です。
中入り後は三遊亭白鳥師匠による「メルヘンもう半分」。
古典落語の「もう半分」を縦筋に、メルヘンの「ムーミンの世界」を横筋に
仕組み、細部は白鳥式のセンスで自由につくりあげた新作です。
噺の中身は古風な怪談なのですが、繰り広げられる奇抜な会話や
特異なイメージ(永代橋を行くムーミン、ミーの女郎奉公)にお客様は
大爆笑。からりと大笑いできる怪談噺はすごい!
見事な打ち出しの一席でした。
皆様、ご来場有り難うございました。
松本尚久 (浜松町かもめ亭)
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当日の写真です。
怪談噺を上演すると言うことで、田宮神社のお札を頂き、安全を祈願しました。
前座は、かもめ亭初登場の朝呂久さん。一朝師匠の五番弟子でいらっしゃいます。
迫真の高座を勤める正雀師匠、白鳥師匠です。
投稿者 落語 : 16:16