2011年04月20日
それは生活習慣病にすぎない
一見奔放、実は緻密な大投手・工藤公康さんが
トレーニングの合間を縫って、昨日・今日と
【文化放送ライオンズナイター】のゲスト解説をして下さいました。
博多~小倉を二人で移動した新幹線の中で
“喋るための脳を活性化させる最善策”の話になった時
僕は、長年の持論である・・・
摂取した糖質は、脳の栄養になるまでに2日間はかかる
・・・という説を披露しました。
具体的には、実況の前々日に
チョコレートやアイスクリームといった甘いお菓子を
積極的に食べるようにしている、というものです。
ところが、工藤投手は・・・
水を飲めば、2秒で効果があると言われている
人間の体というものが、2日間も経たなければ
脳に栄養が到達しないという理論もいかがなものか?・・・
・・・と異論を唱えてきたのです。
言われてみればその通り。
こちらはグゥの音も出なくなりました。
さらに追い討ちをかけるように・・・
食事をすると、消化目的で胃に血液が集まる分
脳に血が回らなくなってしまうから
人間の活動そのものは鈍くなる。
脳、ひいては体をフルに使うためには
「本番直前」に「最低限の糖質」を摂ればいい。
先発をしていた時の僕は、バナナを食べていただけ。
・・・と工藤投手は諭してくれたのです。
僕は、10年ほど前に空腹で実況した際、散々な出来だったため
お腹を空かして長時間の本番へ挑むことに
実は大きな恐怖心を抱いています。
ところが、工藤投手に言わせると・・・
それは“生活習慣病”に過ぎない
・・・ということでした。
何気ない雑談でも全てがこちらの勉強になってしまう
稀有なこと極まりない、雲の上の存在である方にここまで断言されると
おそらく間違えているのは僕のほうだろう、とは思います。
でも、長年培ったルーティンを崩すことへの抵抗感が
心に巣食っていることも否定できません。
こう考えること自体が、きっと“生活習慣病”なんですよね。
病なら、即、治すべきでしょう。
“工藤公康論”で成功すれば
実況の質がレベルアップする可能性を大いに秘めているのです。
ただ「治療」の過程で
とんでもなく酷い実況をお聞かせすることになったら・・・と
想像するだけで寒気がします。
工藤投手の言葉を借りると
「腹が減っては戦ができぬ」というタイプの野球選手は多いとはいえ
どちらがプロの世界で成功しているかは明白です。
長く現役を続けられる秘訣は
“研究を重ねて、独自の生き方を貫くこと”なのかもしれません。
博多~小倉のわずか16分間は
20年以上に渡るアナウンサー哲学を覆された
実に有意義なひとときでした。
投稿者 斉藤一美 : 2011年04月20日 23:50