2010年05月10日

何の変哲もないことが実は大切なのです

たった一人で舞台に立つトークライブ。
しかも、自分が喋りたい4つのテーマを軸に一日中言葉を紡いで
トータル5時間弱というマラソン公演を実現させるなんて
才能と勇気が備わっていなければ絶対にできません。

しかも、1テーマごとの完全入替制!

お客さんが少ない時間帯があったらどうしよう・・・という不安が
頭をよぎってもおかしくないのに、この写真の真ん中にいる方は
困難に敢然と立ち向かい、見事に「完投勝利」を成し遂げたのです。

uchiage.JPG

あさりど・堀口文宏さんのソロライブ
【題名のない堀口会~1日限りの堀口学園~】は・・・
1時間目・東海地方
2時間目・資格
3時間目・野球
4時間目・萩本欽一
・・・といったどのテーマからも
主役の“熱”が手に取るように伝わってきました。
しかも、全てで大盛況。
笑えるのはもちろん、雑学の勉強にもなる心憎さも満載でした。
ちなみに1・2・4時間目の僕は完全に観客の一人。
堀口さんと構成・橋本吾市さん(写真右)との
大らかなのに実は綿密だった打合せが
こういう形で活かされるのかぁ、と大いに刺激されました。

で、ゲストとして出演させていただいた3時間目。
ラジオ実況の裏側の、それこそ隅の隅(の一部分)を語った・・・
いや、語らされたというべきですかね(≧∀≦)

4/22・ソフトバンク×西武戦のTV映像に
【ライオンズナイター】で放送された僕の実況を重ね合わせたものを
お客さんにご覧いただくところから本格的なトークがスタート。
驚くことに、堀口さんが希望した場面は
ホームランやファインプレーが出たところではなく
L・野上投手がH・小久保主将から三振を奪う、という
いたって普通の喋りをお聞かせしていた1分間でした。

何の変哲もないシーンで
斉藤一美はこれだけの言葉数を費やしている!
・・・ということをお客さんに分かってもらいたい。

これが堀口さんの真意です。そして僕は・・・

もぉ~っ!ラジオ実況で最も大切な
『8-6、ライオンズ2点リード』みたいな得点アナウンスを
1分間でたった一度しか言えてないよ!
これだけの時間があれば、3回は触れないとダメだって!
何でよりによってこのシーンを使うかなぁ?

・・・と、ステージで毒づきながらも、実は
僕が考えが一緒だぁ( ̄ー ̄)、と感心していました。

得点が入るシーンや
チャンスを逃したり、ピンチを切り抜ける場面は
プロ野球選手やスタンドの雰囲気が
まるで画家のように「色」をつけてくれます。
その色を間違えずに表現すれば
おそらく誰が喋ったとしても盛り上がるはずです。

ところが、普通の場面は言わばデッサンの状態。
アナウンサー次第でどんな色にも染まります。

ラジオ実況は
何の変哲もないシーンにこそ
真の味わいがある。

これは、プロの端くれとして僕が出した結論の一つでした。
おそらく堀口さんとウマが合うのも
大切にしているポリシーの根っこが似ているからだろうな、と
ほくそ笑みたくなる気分を隠しながらブーブー文句を言っていたら
アッという間に3時間目の最後・コントの時間がやってきたのです。

実況はいつも受身の立場だからつまらない。
たまには、目の前にいる人間が
こちらの喋った通りに動いてくれないものか?・・・といったコンセプトで
僕は、自宅に帰ってきた設定の堀口さんをひたすら実況していたのに
ある瞬間から立場が逆転!
僕から発信された“ムチャ振り実況”に堀口さんが必死についてくる
・・・という流れでした。
お客さんの反応を見た限り
主役の足を引っ張ることはなかったかな、とは思うのですが
実際はどうだったんでしょーね?

とにかく、僕をお笑いの舞台にまで上げてくれた野球実況は
もう、ここまできたら男子一生の仕事にしないとバチが当たりますよ。
明るく真剣に笑いを追及する堀口ライブのスタッフと触れ合って
ようやく覚悟が決まりました!

あ・・・もしかして遅すぎますかσ(^_^;)? 

投稿者 斉藤一美 : 2010年05月10日 23:06

 

(C) 2005, Nippon Cultural Broadcasting Inc. All right reserved.