2010年04月30日

悲しくもおめでたき一日

この10年近く、歌舞伎座にはちょいちょい足を運んでいたので
老朽化で建て替えるとはいえ、取り壊すのは悲しいです。

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今月は正真正銘の“さよなら公演”なので連日の超満員。
僕は何とか4/12・第三部のチケットを確保することができました。
【実録先代萩】では仕事と親子の情愛の間で揺れ動く
乳母の心もようを細やかに演じた
中村芝翫(しかん)に激しく心を揺さぶられ
【助六由縁江戸桜】では
市川団十郎から醸される粋でいなせな喧嘩っ早さに
胸のすくような爽やかさを覚え、時間が経つのを忘れるほど
そのきらびやかな世界にドップリと浸かってしまったのです。

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振り返ってみると、僕が歌舞伎にハマったのは
7年前の夏、この歌舞伎座で
【義賢最期(よしかたさいご)】を観てからだったような気がします。

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木曽義仲の父親・義賢を演じる中村橋之助が
壮絶な討死を遂げる最後の場面が今でも忘れられないのです。
階段の上に立ち、鳥がはばたくように両腕を広げた格好のまま
うつぶせに大の字で真っ逆さまに倒れ込む「仏倒れ」は
言いようのない無念を抱えた表情と合わせて、凄絶なことこの上なし。
幕が下りても涙が止まらず、食事に行けなかったくらいです。

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僕は、あの舞台に触れて初めて・・・

歌舞伎でも泣けるんだΣ( ̄□ ̄)!

・・・と知ったのです。
歴史的な背景や難しい言葉遣いはちょっと見、ブ厚い壁ですが
じきに気にならなくなるばかりか
いつの間にか、えらい感情移入してしまっていた自分に驚きました。

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その後は、坂東三津五郎の舞踊劇【茶壷】や
中村勘九郎(現・勘三郎)の新作【今昔桃太郎】で
腹を抱えて笑ってしまい、かえって腰が痛くなった・・・という
経験をさせてくれたのも、この歌舞伎座でした。

涙も笑いもふんだんに盛り込まれている歌舞伎という伝統芸能は
喜怒哀楽が激しい僕のような者が楽しむには
まさにうってつけの娯楽なのです。
これから3年間、個人的には国立劇場や新橋演舞場で
細々と観続けるでしょうけど
やっぱり、専用劇場で演じられる歌舞伎は格別です。
早いとこ改装してほしいのは山々なので
ここは一つ、歌舞伎の世界特有の挨拶にのっとってみましょうか。

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閉場式、おめでとうございます °・(ノД`)・°・

投稿者 斉藤一美 : 2010年04月30日 23:27

 

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