2008年02月17日

寺にて、我慢。

本日、3万人以上のランナーが都内を駆け抜けていた頃
僕は身内の法事の真っ最中でした。
そこで、僕が8才の頃からお世話になっている
ご住職のお説教に耳を傾けながら思ったんです。

オレ、確実に人生の年輪を刻んでいるんだなぁ、って。

10年前、同じお寺の本堂で訊いた時は
少々退屈で馬耳東風だったお説教なのに
今日は、ついに一字一句全て理解することができたんです。

『おじいさまの50回忌、おばあさまの33回忌にあたりまして・・・』
『日本は経済大国にのし上がることと引き換えに・・・』
『家族たるもの、共に支え合い・・・』

我が家が訪ねるたび、木魚を叩き
お題目を唱えて下さっていたご住職は
きっと、昔からこんなにも分かりやすくて
有難いお話を説いていたのだろう、と今さらながら気づきました。

お説教の間中、ご住職の鼻の真下にテラテラと光る液体があったので
さすがに気になりましたが
これも冬ならでは・・と即座に割り切りました。
ところが“テラテラ”は予想以上に光沢を増しながら
ご住職の口元に迫っていきます。

あぁ、マズい!入ってしまう!

・・と息を呑んだ瞬間“テラテラ”は
口の真上ギリギリのところで、ピタッ、と動きを止めました。
上唇のM字に盛り上がった部分が
見事、ストッパーの役目を果たしたようです。

ご住職は、それでも話し続けました。
まるでリップグロスを塗ったかのようなきらめきを放ちながら、なお。
あそこで鼻をかまれていたら、こちらの集中力も切れていたでしょう。

さらにお説教が終わった後、恭しく歩を進めるご住職の足元に
ボトッ!という音が響きました。
数珠を落としたわりには重そうな感じがするな、と思って視線を落とすと


ホカロン2つ。


そりゃしょうがないっスよ。ここ、寒いもん。
で、やはり鼻風邪をお召しだったんですね、ご住職。

それでも、泰然自若とした様子を変えずに腰を折り・・・

ナムミョウホウレンゲ~キョウ~

・・・と繰り返しつぶやきながら
2つのホカロンを拾い去っていったのはお見事です。

ここまで立て続けに目の前で見せつけられると
顔が(≧∀≦)となりそうでしたが
グッとこらえて平静を装うことができました。
おそらく、素晴らしいお説教を一言一句漏らさず聴けたからでしょう。
ふ~、危ない、危ない。 

投稿者 斉藤一美 : 2008年02月17日 23:25

 

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