2007年11月13日
網に賭ける男のロマン
サッカーのゴールネットって
網目が四角形のイメージが強いのですが・・・
こんな六角形タイプが出回っているのをご存知ですか?
一般的にはまだまだ普及していませんが
世界トップレベルのサッカーでは常識になっているんですね。
最近、新聞で読んで
そういえば日韓W杯で導入されて話題になったことを思い出しました。
我が国史上初の“六角形ゴールネット”を
独自に作り上げたいきさつに興味が湧いたので
福井ファイバーテック・福井英輔社長(52)にお話を伺ってきました。
30年ほど前は、慶応義塾大学のサッカー部でFWとして活躍して
日本リーグの名門・ヤマハ発動機(J1・ジュビロ磐田)でプレーした
輝かしい経歴をお持ちです。
引退後の海外勤務を経て、1989年に実家の愛知県・豊橋に帰り
お父様の会社【福井漁網】を継ぎました。
社名変更前は、読んで字の如くの業態!
“福井ファイバーテック”は漁網をはじめ「網」全般を作っているのです。
福井社長は、ほどなくして始まった
1990年の≪サッカーW杯・イタリア大会≫のTV中継を見て
ゴールネットが四角形ではなく六角形であることに気がつきました。
目のつけどころがマニアック過ぎます。
サッカーへの情熱と、商売に直結する「網」への興味が
見事に溶け合ったとしか思えません。
しかもその当時、会社で手がけ始めた“土木作業用の網”が
偶然にも、同じ六角形でした。
『あの商品の網目をもう少し大きくすれば
六角形のゴールネットは、ウチの会社でも作れるかもしれないな』
と拍子でイメージを膨らませていったそうです。
早速、特許が取られているかどうか調べると
まだ申請されていませんでした。
『ラッキー!じゃあ福井漁網で』と喜び勇んで手を挙げたところ
W杯で世界中の目に触れた以上
権利を独占することはできないと聞き、社長、ガックリ。
それでも“自分の会社の網”で六角形のゴールネットを作る夢を
持ち前のバイタリティーで叶えていきました。
こうして、日本初・福井漁網製六角形ゴールネットが完成したのです。
福井社長の知る範囲では、Jリーグでは100%六角形です。
ただ、先ほども触れたように特許は取れない商品なので
『全てがウチで作ったものとは言い切れないんですよ』と苦笑い。
ちなみにお値段は・・・・
でも、なぜ六角形ゴールネットが
学校教育・公共施設レベルでは完全に浸透しないかというと
四角形ネットの方が、はるかに安いからです。
何せ値段は1桁違います。
六角形ネットは“ラッセル機”と呼ばれる特別な機械を使わないと
編めないため、この価格差は埋めようがありません。
税金で設備投資する以上
どこでもOKというわけにはいかないでしょうが
一人でも多くのサッカー少年・サッカー少女に、例えば
シュートしたボールが長い時間ゴールネットに絡みつくような
【キャプテン翼】的体験をしてもらえれば、日本のサッカー文化は
さらに豊かなものになっていくような気がします。
とにかく福井社長は、サッカーゴールから試合を
演出したくてしょうがないのです。
実をいいますと・・・
グランパスの赤/ジュビロのサックスブルー/ジェフの黄色といった
チームカラーの六角形ゴールネットの製造も手がけているのです。
2010年の南アフリカ、無理なら14年のブラジルでもかまいません。
『W杯の舞台で日本×ブラジル戦が実現したら
ウチで作った青いゴールと黄色いゴールが
ピッチで向かい合う様を見てみたいんですよ』と
福井社長はロマンティックな夢を語っていました。
男たるもの、こうでなきゃいけませんね。
投稿者 斉藤一美 : 2007年11月13日 17:24