2006年12月26日
高岡よ、オオカミになれ!
ちょっと良い結果が出たぐらいで・・・
天狗になるのはいけません。
でも、悪い結果が出てしまった時に
必要以上に自分を責めるのは、ただ、苦しいだけです。
ご存知、箱根駅伝。
20チーム中上位10チームに入れば次回のシード権を得られます。
11位以下なら、秋に行われる予選会からのスタートです。
年間を通じた調整計画は、シードの有無でガラリと変わってきます。
だから、たった50mしか離れていない目の前で
9位、10位と立て続けにゴールしたのを見せつけられた
11位のチームのランナーの心は、深く傷ついてしまうのです。
城西大学の4年生・高岡寛典(ひろのり)選手は
前回、アンカーとして10区を走り
最速の証である“区間賞”を獲得しました。
でも、チームの総合成績は11位。
わずか10秒差のシード落ちだったのです。
『今でも皆に迷惑をかけてしまった気持ちでいっぱいです。
あの大手町のゴールシーンはたまに夢に出てきます。
最後の3キロで右折したところで
日体大と東洋大に抜かれて、そのままです。
沿道の大声援で
後続ランナーの足音も気配も全く感じませんでした』
たとえ区間賞でも
2人に抜かれさえしなければチームは10位以内に入っていたはず。
だから、シード落ちは自分のせい。
これが、高岡選手の言い分です。
絶対に違います。彼のせいではありません。
でも、10位と僅差でゴールした11位のアンカーが
その責任を一人で背負い込むのは、痛いほど理解できます。
『この1年間、皆の前では笑って過ごしていたが
走っていて楽しかったことは一つもありませんでした』と
高岡選手は打ち明けてくれました。
なぜなら、今年の試合では
例の“最後の3キロ”にさしかかると決まって力んでしまい
自己ベストを全く更新できなかったからです。
『本当はもっと軽い性格なんですけど・・』と力なく微笑んでいました。
寝ても醒めてもあの時の悔しさが頭をよぎる。
結局、箱根駅伝で結果を出さなければ
この悔しさは晴らせないのです。
『だから、もう1回10区を走ること以外考えていません!』
ず~っと沈みきっていた高岡選手の表情に
この瞬間、生気がみなぎったのを僕は見逃しませんでした。
本番まで、あと1週間。
こんなに悩める若者と触れ合ってしまうと
城西大学史上初のシード権獲得に向けて大いに牙を剥いて欲しい、と
ОBでもないくせに、心から願ってしまいます。
そう、箱根駅伝を走る者は
飢えたオオカミの風情を湛えるぐらいでちょうどいいのです。
これ、法政大学の学生寮にあった剥製なんですけど
ひょっとしてフツーの犬だったりして( ̄~ ̄;)
投稿者 斉藤一美 : 2006年12月26日 23:59