2006年03月21日

We are the champions!

今までに、あれほど美しい球場を見たことはありません。

サンディエゴの街中に響き渡るフレディ・マーキュリーの歌声と
体の芯を冷やす夜気いっぱいに舞い降りた七色の紙吹雪。
その全てを包み込む、天然芝のペトコ・パーク。

日本代表が世界一に輝いた瞬間、僕の目に飛び込んできた光景です。

まさか本当に世界一になるとは思いませんでした。
もちろん嬉しいに決まってますけど
5勝3敗で頂点に立ったのが、どうしても信じられなかったのです。

でも、王監督が金メダルをかけられるのを見たら
やけに涙があふれてきました。
“僕らの王さん”が
選手としても、監督としても世界一になったからです。
756号を打った時よりも、感激しました。
そういえば、今夜の始球式はハンク・アーロン。
野球の世界一が決まる試合で
755本のホームランを打った大打者が
旧友・王貞治にエスコートされてマウンドへ向かうのを見ていたら
いやぁ~、そりゃもう泣けたなんてもんじゃありませんでした。

そして、松坂大輔。
かつて僕は、彼の【衝撃!155キロのデビュー戦】を
実況する幸運に恵まれました。
以来“松坂登板ゲーム”は
全てスクラップとして残すことを決意したほど
この、一人の投手に魅せられています。
だからこそ、彼が記者会見で
『大事な試合で先発して
 初めて結果を残せたことに満足しています』と口にしたのを聴いて
完全に、文句なしの大エースになったんだな、と心が震えました。
松坂大輔の7年間を表現できる立場にいられたことに感謝します。

さて、会見前。
イチローと着席した松坂は、王監督の到着を待つハメになったので
最前列に座った僕は、公の場で質問できないことを訊きました。

  一美「何か、シャンパン臭くない?」
  松坂「すごい匂いでしょ?」

日本のビールかけ=こっちではシャンパン・ファイト。
どちらにしても、終わった後は強烈なアルコール臭が残ります。
  
  松坂「これ、全部イチローさんですよ」

イチローは会見に遅れないようにするために
シャワーを浴びる時間を惜しんで来てくれたのです。
でも、松坂は浴びていたので
この匂いは“自分発”ではないことをアピールしてきました。

  イチロー「・・・監督、遅くないか?・・・」
   松坂 「シャワー、浴びてると思いますよ」
  イチロー「ウソ!何でオレだけ浴びてないの!?
        こんなに余裕があるなら誘ってくれてもいいのに!
        オレ、もしかして嫌われてる?」

7分後、王監督が到着。
一人だけ、さっぱりとした私服姿だったので笑いました。

最後に、アメリカの記者が、彼のメジャー志向を知ってか知らずか
「ミスター・マツザカ。いつアメリカに来てくれるのですか?」
と質問した時のこと。

   王  「今すぐ、って言えばいいじゃないか」
  イチロー「監督、それ、爆弾発言ですよ!」
   松坂 「(照れ笑い)」

何と和やかな雰囲気でしょう。
チームメイトだからこそのやりとりです。


でも、イチローと松坂は、奇しくも同じことを言っていました。

世界一になった瞬間、喜びとともに
このチームと別れなければならない、という淋しさが湧いてきた、と。

名残惜しいですが、しょうがありません。
皆、またライバルに戻るのです。

さらば、日本代表!
さらば、アメリカ!
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投稿者 斉藤一美 : 2006年03月21日 20:38

 

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