2006年02月21日

ヤンチャの余韻

今日で、このパスポートともお別れです。

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ホンッ・・・・・・・・・・トに長い10年でした。

このヘアスタイルの事情を知っているあなたは
かなりの文化放送通ですね。

その昔、僕は“夜の男”でした。
【斉藤一美のとんカツワイド】という平日の番組を
22時頃~24時頃まで、毎日喋らせてもらっていたのです。

1993年、始まった当時の裏番組では
伊集院光・岸谷五朗というビッグネームが名を連ねる中
局アナ・25才・ただ元気なだけ・あんた誰?ってな感じの男が
そう簡単に高い聴取率を取れるわけがありません。

なのに、僕というヤツは、半年経っても
それが全く分かっていない身の程知らずだったんです。
スタッフとの深夜の飲み会で
日本酒を浴びるように呑んで、即、泥酔。

チッキショーーーーーーーーーーッ!
オレは一番じゃなきゃイヤなんだ!!
オレは一番じゃなきゃイヤなんだ!!!
オレは一番じゃなきゃイヤなんだ!!!!

・・ってうわ言のように叫びながら
やるき茶屋の取り皿をつかみ、テーブルの角にバンバン叩きつけて
挙句の果てにはバリッ!と割ってしまったのだそうです。

まさに粗相。大粗相。

2週間後、生放送の中で責任を取らされました。
写真週刊誌・FLASHも呼んでの公開断髪式です。

『そんなに一番になりたいんだったら
 まず見た目から一番になれ!アッハッハ』
というスタッフのメッセージが存分に込められた髪型に大変身・・・。

名づけて
オレは一番じゃなきゃイヤなんだ!バリッ!カット
通称・オレバリカット。
あ、念のため。
《バリッ!》は取り皿が割れた音です。

頭頂部のど真ん中・1センチ四方だけ残して
後は全部髪の毛を剃り上げてしまい
デップで固めてピン!と立たせることで、を表現。
鼻の下には、カトちゃんのようなチョビヒゲをサインペンで書き、やはり
2つあっては二番になっちゃうよな、というスタッフの意向で
眉毛は全て剃られました。

人相、ガラリ一変ですよ。
その週末、久々に両親と温泉旅行に行ったんですけど
行きのロマンスカーの中で、母はずっと泣きはらし
ハンカチを手放せなかったくらいですから。

で、長いこと番組をやっていくうちに徐々に髪を伸ばしていったところで
『一美、もう一回“原点”に帰るか?』とスタッフに訊かれたのです。
異存はなかったので、眉を残すことを条件に
ソフトなオレバリカットにイメチェンして、最後の1年間を喋り切りました。

このパスポートって、そんなヤンチャな仕事ぶりの余韻だったんですよ。

もう、入国審査で外国人の係員から
「プププ」と笑われたり
「本当にこれは君なのか?」と疑われたり
「なぜ、この髪型を?」と尋ねられることもなくなるんだなぁ。

その都度「イッツ・マイ・ジョブ!」と返すのが
少しだけ快感に変わり始めてきたのになぁ。

でも、こんな髪型、もう二度とできません。

さらば、若気の至り!


投稿者 斉藤一美 : 2006年02月21日 23:05

 

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