2005年11月24日

髙木大成=貴乃花親方?

爽やかな笑顔。
見るからに高貴な雰囲気。
大柄ではない体に秘めたしなやかな筋肉。
ここで打ってくれ!というチャンスで頼りになる男。
だからこそ“プリンス・オブ・レオ”と呼ぶにふさわしかったのです。

西武ライオンズ・髙木大成
インボイスSEIBUドームで行われた『ファン感謝の集い』で
現役最後のユニフォーム姿を披露しました。
全盛期の頃と変わらない
『スッ』
とした印象は相変わらずで
そこに立っているだけですでに【絵】そのもの。
そりゃぁ老若男女問わず、レオ党から根強く支持もされますわ。

僕は、この人気者とトークショーをやらせていただいたんです。

場所は、電車の中!

西武池袋線・午前10時池袋発・西武球場前行きの
ノンストップトレインを、今年の開幕2連戦(3月)
巨人との交流戦(5月)に次いで走らせたわけです。

先頭車両の運転席のすぐ前に
ちっちゃい折りたたみ机にパイプイスを並べて
進行方向に背を向けながらしゃべります。
最前列の乗客の方は3メートル離れたところで
腰かけたり吊り革につかまったりして
トークを聞いて下さるのです。
ただ、満員電車なので
後ろに行くほど僕たちの姿は見えなくなり、声も届きません。
じゃあ、どうするのか?

車掌用マイクを使ってしゃべるのです!

運転席からグーンとコードを伸ばし
マイク横のボタンを押しながらね。

ここまでは鉄道員の気分を満喫できて面白いのですが
このマイクは“1個しか引けない”という難点があります。
司会はゲストに話を振る時
さらにコードを延ばして相手の口元にくっつくほど近づけないと
声を拾ってくれないのです!
さらに、ずっとボタンを押していないといけないので
開幕戦当日は右手の親指がしびれてしまいました・・・。
次の日は、ボタンの上から消しゴムを
セロテープで押しつけるように巻きつける、という
涙ぐましい工夫もしたんですよ!

だから、今回もそのつもりで乗り込みました。
すると机の上には、運転席からコードが延びた・・・普通のマイク!・・・
しかも大成さん用と僕用の2本もある!・・・拍子抜けです(笑)。
でも、そこまでの試行錯誤があったからこそ。
西武鉄道に感謝しながら、大成選手と
温かく彼を見守ってきた大勢のファンの皆さんと
40分余りの楽しいひとときを過ごすことができました。

戦力外通告をされてから
引退を決めるまでの1カ月、バットは振り続けていたこと。
真っ先に思い出すシーンは、97年のオリックス戦で
プロ最初で最後の2打席連続ホームランを放ち、勝利に貢献したこと。
この日、打てなかった同級生のイチローに
『今日は3番打者の差です』と負けを認めさせたこと。
彼が負けを認めたのは、この1回だけだったこと(笑)。
契約更改の席で
「西武の歴代一塁手としては守備の査定が高い」と言われたこと。
けん制球を投手に返す時、ランナーの動きを大きな声で伝えていたこと。
ホームランは、たったの56本と言ってしまいたくなるくらい
記憶に残るアーチが多いこと。
それは(松坂)大輔の投げる勝ち試合でよく打ったから、ということ。
そのせいでお立ち台はいつも大輔だった、ということ(爆笑)。
徐々に右手の自由が利かなくなり、ペットボトルも開けられなかったこと。
だから、一昨年4度目の手術をしたこと。
今年は、新しい自分を作るため
良い意味で「頑張らない」ようにしたこと。
ソフトバンク戦で3打点を挙げてチームは勝ったが
ヒーローインタビューは移籍後初勝利の河原さんだったこと(大爆笑)。
レギュラー時代よりも凄かった“代打・髙木大成”の場内アナウンスへの
歓声に鳥肌が立ち、何とかして打ちたかったこと。

そして

これまでのケガとの戦いは
間違いなくこれからの人生に活かされること。


僕の質問に、全て真正面から答えてくれました。


12月からは球団の営業部員として新たなスタートを切ります。
試合中はドームを歩き回って、ファンの意見を聞いて回るそうです。
サイン・記念撮影OKとのこと。

まるで引退直後の貴乃花親方みたいですね、と2人で笑いました。

ライオンズのファンサービスが変わる。楽しみだぁーーーーーーーっ!
 

投稿者 斉藤一美 : 2005年11月24日 00:48

 

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