2009年09月16日
日本の匠
ゲスト:種字彫刻の匠 清水金之助さん
種字彫刻の匠、清水金之助(しみず きんのすけ)さんは、大正11年、東京都生まれの87歳。活版印刷で使う金属活字を量産するための「種字(たねじ)」を精巧なワザで彫られる名人です。
清水さんは高等小学校を卒業した14歳のとき、種字彫刻の名人に弟子入り、厳しい修業時代を送ります。そして昭和17年に第二次世界大戦で召集され陸軍に入隊、中国各地に赴任します。復員後は大田区に自らの工房を設立され、彫り師として多忙を極めます。
当時、「清水の文字には魂がある!」と大評判となり、弟子も5人とるなど彫り師として多忙を極めます。
その後、機械の普及でお仕事が減り、昭和36年に彫刻刀を置くことになります。しかし、いまから5年前、書体の研究家の依頼で40年以上ぶりに「種字彫刻」を再開。清水さんの奇跡というべき活版印刷の種字が復活します。
種字彫刻は、ルーペをのぞき、マッチ棒の先ほどの鉛と錫を配合して作った地金の面に彫刻刀で左右逆の「鏡文字」を彫っていくそうです。清水さんは、彫ろうとする文字が頭にイメージができ、左右逆の「鏡文字」がぱっと頭に浮かぶそうです。
最後の掘り師、清水さんの神業は、いまも輝き続けています。
投稿者 ごぜんさまスタッフ : 2009年09月16日 11:45