2006年12月13日
12月13日(水) くにまる音楽温泉
◇本日のお言葉◇
「絶望は人間だけがもつことのできる黄金である」 山本周五郎
山本周五郎は、「樅の木は残った」「赤ひげ診療譚」「青べか物語」など、数多くの名作を残し、亡くなってからもう40年近くの歳月が流れましたが、現在もなおその作品のほとんどが文庫に収録され、版を重ねている、恐るべき作家です。
生まれたのは1903年(明治36年)、本名は清水三十六(さとむ)。幼い頃から文才に優れ、小学校の先生に「君は小説家になれ」と言われて文学を志します。ところが、待っていたのは茨の道でした。小学校卒業後は、「山本周五郎商店」という質屋さんの住み込み店員となり、筆舌に尽くしがたい苦労を味わいながら文学修業を続け、1926年(大正15年)、文藝春秋に作品が掲載され文壇デビューを果たします。その時、原稿には、「山本周五郎方清水三十六」と書いてありましたが、文藝春秋の方で「山本周五郎」が名前だと勘違い。そのまま雑誌に載ってしまったことから、これがペンネームとなったのだそうです。
実際、このホンモノの山本周五郎さんは、とても洒落た、文学などにも造詣の深い人物だったそうで、清水少年を何かにつけ励まし、物心両面で援助を続け、小説家の山本周五郎さんも、生涯の恩人として慕い続けたというエピソードが残っていますが、どんなに、お店の旦那さんに可愛がってもらっても、やはり小僧をしながら文学を志すのは大変なこと。絶望したことも一度や二度ではなかったでしょう。そんな経験をバネに、大ベストセラー作家となった山本周五郎の言葉を噛みしめていただきましょう。
◇本日の曲◇
「希望/岸洋子」
岸洋子の「希望」は、1970年(昭和45年)の大ヒット曲です。
投稿者 joqr : 2006年12月13日 12:00