2006年11月16日
11月16日(木) くにまる音楽温泉
◇本日のお言葉◇
「大抵の亭主は、家出がしたいのを我慢してる世の中だ。」 獅子文六
実に、しみじみとくる言葉です。
独特のユーモア溢れる小説で、戦前・戦後を通じベストセラーを連発した作家、獅子文六。この言葉は、その中でも代表作とされる「自由学校」に登場する一節です。
この作品が生まれたのは1950年(昭和25年)。戦争が終わって進駐軍がやってきて、日本国憲法が制定された時代。一般庶民たちは、突然天から降ってきたような「自由」に戸惑い、いったいどうやってこれを使えばいいのか、途方にくれているようなところがあり、こんな世相をベストセラー作家・獅子文六が実にうまく汲み取って、「自由学校」という見事なタイトルの作品に仕立てました。
戦後、非常に力の強くなったやり手の女房に、ホトホト疲れたぐうたら亭主が家出するという物語で、家を出た主人公のぐうたら亭主は、なんと中央線御茶ノ水駅から見える対岸の土手に暮らします。当時、戦争で家を焼け出された人々が掘っ建て小屋を立て、あの神田川の岸辺にたくさん住んでいたのです。今では想像もつかない出来事ですが、当時は実にリアル。その証拠に、大映と松竹、二つの会社で映画化され、なんと同じ日に公開されたという凄まじさ。こちらも、今ではありえないエピソードですね。
◇本日の曲◇
「さらば恋人/堺正章」
堺正章の「さらば恋人」は、1971年(昭和46年)、スパイダース解散後、初めてのビッグヒットとなった曲です。
投稿者 joqr : 2006年11月16日 12:00