2006年10月25日
10月25日(水) くにまる音楽温泉
◇本日のお言葉◇
「そうだ、俺は不用な鍵のような人間だ。
どの穴へ持って行ってもあてはまらない!」 石川啄木
青春時代というのは、誰もが孤独に悩まされるものです。しかし、石川啄木の孤独は特別なものだったと言ってもいいのではないでしょうか。短歌、詩、そして小説。さまざまなジャンルでその才能を発揮し、わずか26歳で病に倒れた啄木は、また、とても文学的プライドの高い人間でした。
ところが、家庭的な事情から、常に貧困に悩まされ、そんなプライドに見合う生活を送ることが許されない。中学生のころ、恋仲になった女性がいて、彼女はこの自意識過剰の青年を、ずーっと精神的に支えていました。20歳のころ、二人はようやくその仲を認められ、結婚式を挙げることになったのですが、当時、啄木は父母を養わなければならない状況であり、経済的にもどん底。とてもじゃないけれど、一家の主として世間に胸を張れるような境遇ではなかった。
そこで、どうしたか…というと、結婚式をすっぽかしてしまった。新郎のいない式で、奥様は泣き通しだったそうですが…このほかにも、中学校をカンニングでクビになったり、借金を踏み倒したり、とにかく世間的に言えば、かなり「困った人」だった啄木。「孤独」に悩まされるのも無理はありません。それもこれも文学への思いの強さのなせる業であった…と、今となっては言えるわけですが。
◇本日の曲◇
「わかれうた/中島みゆき」
「いつも目覚めればひとり」…こちらも不器用な人間の寂しさを歌った、中島みゆきの「わかれうた」は1977年(昭和52年)のヒット曲です。
投稿者 joqr : 2006年10月25日 12:00