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2009年09月12日

朗読紙片第12回「やがて雨は告げる」

朗読紙片第12回「やがて雨は告げる」

を掲載致します

目で見ながら、もう一度、松井五郎さんの世界を感じてみては

いかがでしょうか・・・


やがて雨は告げる

紫陽花の
心変わりを
庇うように
雨のインクが
優しく 滲む

ほんとの気持ちを
書いたはずが
手紙の宛名を
忘れてしまった

窓をつたう
滴の糸が
ひとつに結ばれ
また 解けて

思うようにならないことも
きっと誰かの思いが 実った証

それを上手に 受け入れる
豊かな器が あればいいのに

幸せも 不幸せも
どちらも 長くは続かない
息を潜めて 見えない鬼を やり過ごす
ひとりぼっちの かくれんぼ

そしてここからの私
やがて雨は告げる

どれだけ満ちた昨日でも
なにもない明日には敵わない
確かなことがないとしても
未来は光を秘めている

雨音にまぎれ こぼれる涙
雲はその理由を 知ってて黙っているのでしょう

持ってでかけたはずの傘
置き忘れた場所は 心の垣根

愛しさも さみしさも
別々に生まれるものではない
瞳を閉じて 最後のかけらを 探してる
形を持たない ジクソーパズル

そしてここからの私
やがて雨は告げる

わかってる
わかってる
そう これでいい

幸せも 不幸せも
どちらも 長くは続かない
息を潜めて 見えない鬼を やり過ごす
ひとりぼっちの かくれんぼ

そしてここからの私
やがて雨は告げる

やがて雨は告げる

投稿者 agqr : 2009年09月12日 09:54

 

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