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2009年04月23日
朗読紙片第2回「もう誰も月を覚えていないなら」
朗読紙片第2回「もう誰も月を覚えていないなら」
を掲載致します
目で見ながら、もう一度、松井五郎さんの世界を感じてみては
いかがでしょうか・・・
「もう誰も月を覚えていないなら」
奈落と見紛うばかりの空に
深く冷たい永遠が広がる
いつかそこに浮かんでいた
あの美しい輝きを
いまはもう誰も覚えてはいない
眉月(まゆづき)
弦月(ゆみはり)
十五夜
十六夜(いざよい)
数多の呼び名で
留めておこうとしたけれど
いつも世界を照らしていた
あの麗しい輝きを
いまはもう誰も覚えてはいない
生まれた時からずっと
あなたは抱きしめていてくれた
孤独の一端に繋がれているものが
愛であることを伝えようと
どんな過ちも許しながら
あなたは抱きしめていてくれた
あふれる涙を拭うために
時が開かれてゆくことを伝えようと
やがて妊る命に満ちる
安らかであたたかい海の鼓動
自らを戒める斧を手放した
愚かな心の奥にも
それが太陽の力であることを明かし
ただひたすら夜を守り続けていた光
記憶さえも奪う 漆黒の闇の彼方
そこからここはどんな風に見えるのだろう
離れていくことしかできなかった理由を
私たちは知ることができるだろうか
生まれた時からずっと
あなたは抱きしめていてくれた
憎しみへ導くものが
愛であることも忘れないようにと
どんな苦しみも癒しながら
あなたは抱きしめていてくれた
争いをはじめる手も 傷ついた者を救う手も
同じ心に繋がる手であることを伝えようと
私はあなたの名を記しておこう
あなたが伝えようとしたほんとのことを記しておこう
私はあなたの名を伝えていこう
あなたが伝えようとしたすべてのことを伝えていこう
投稿者 agqr : 2009年04月23日 16:39