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2023年01月18日

直木賞受賞作予想

すべての候補作をみてきました。
それでは第168回直木賞の予想にまいりましょう。

受賞作は、小川哲さんの『地図と拳(こぶし)』と予想します。

戦争とは何か、国家とは何か、人間とは何か。
そうした大きな問いに立ち向かった素晴らしい作品です。
この手のスケールの小説は、何年に一回くらいしか現れません。
選考委員にはぜひタイミングを逃すことなく、受賞させてほしいと願います。
また日本を取り巻く国際情勢からしても受賞は時宜にかなっています。
本作は、「新しい戦前」を思わせる今だからこそ読まれてほしい作品です。


もし二作同時受賞なら、
一穂ミチさんか千早茜さんかなとチラッと思ったりもしますが、
やはり『地図と拳』は群を抜いていますので、当欄では単独受賞を推します。

最後に芥川賞も予想しておきましょう。
こちらは井戸川射子さんの『この世の喜びよ』が受賞すると思います。
前作『ここはとても速い川』が抜群に素晴らしくて注目していました。
二作続けてクオリティの高い作品を出した力量は凄いです。

といっても、前作は候補になっていないので、選考では関係ないんですよね。
そう考えると、前回候補になった鈴木涼美さんも有力だし、
彗星のごとく現れた新人が受賞してスターになったケースも
これまであったことを考えると、安堂ホセさんだって可能性があります。
でもここはやはり作品そのものの個人的評価で、井戸川さんを推します。

芥川賞・直木賞いずれも1/19(木)に発表されます。

投稿者 yomehon : 2023年01月18日 07:00