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2019年01月17日
直木賞は『宝島』に決定!
第160回直木賞は、真藤順丈さんの『宝島』が選ばれました。おめでとうございます!
本書については先日のエントリーに書いたとおりで、
占領下の沖縄を逞しく生き抜いてきた人々の物語と
沖縄という土地が持つ力が見事に融合した傑作です。
選考委員を代表して記者会見した林真理子さんによれば、
この作品は最初の投票で圧倒的な支持を集めたようです。
文句なしの受賞ということのようです。
それにしても今回の候補作はすべて面白かった。
正直、いつもだったら、「なぜこれが候補に?」と思う作品がひとつはあるものですが、
今回は読んでいて楽しかったです。
個人的には深緑野分さんの『ベルリンは晴れているか』推しだったわけですが、
林さんの会見で、「ん?」と思ったのが、この作品についての議論。
高く評価する声がある中、「この方は軍事マニアっぽい」という意見もあったとか。
どなたの意見かはわかりませんが、思わず笑ってしまいました。ピント外れすぎ!
『宝島』と『ベルリンは晴れているか』は、アプローチは違えど、どちらも戦後を描いています。
戦後を描くことで、現代にも通じる問題を読者に考えさせようとしている作品です。
『宝島』はもちろんのこと、残念ながら受賞に至らなかった他の候補作もぜひ手にとってみてください。
芥川賞は上田岳弘さんのみ的中。
上田さんの小説からはいつも未来を感じます。
人間の役割がどんどん縮小していく未来というか。
町屋良平さんは青春小説の新しい地平を切り拓いている方。
登場人物の会話がとってもいいんですよ。
どちらも受賞作の発売はこれからですが、ぜひ読んでいただきたい作家です。
投稿者 yomehon : 2019年01月17日 05:00