« 第149回直木賞直前予想! | メイン | まだ間に合う『半沢直樹』 »

2013年07月17日

直木賞直前予想 敗戦の弁

じぇじぇじぇ!!!

行きつけの居酒屋のカウンターで思わず叫んでしまいました。

第149回直木賞が、
桜木紫乃さんの『ホテルローヤル』(集英社)に決まったという
ニュース速報を目にしたからです。

まずは桜木紫乃さんにお祝いを申し上げます。
おめでとうございます!!

とはいえ、正直申し上げてこれは予想だにしなかった結果です。
いずれ直木賞をとる人だとは思っていましたが、
このタイミングでの受賞は想定外でした。 
しかも単独受賞というところにも驚かされます。

『ホテルローヤル』は、
釧路湿原のそばにあるラブホテルを舞台にした連作短編集。

直前予想にも書きましたが、
まず冒頭に、廃墟となったホテルを舞台にした小説が置かれ、
そこから時間が遡っていくという凝った構成になっています。

セックスをめぐる短編集と聞いて、
単調な内容を想像される方もいらっしゃるかもしれませんが、
なかなかどうして、おさめられた短編はバラエティに富んでいます。

たとえば、『本日開店』という短編をみてみましょう。
主人公は、ある貧乏寺の住職の妻。
彼女は寺を支えるために、主だった檀家の主たちと、定期的に肉体関係を結んでいます。
そんな中、ある時、檀家が代替わりして、新しくなった主と寝ることになります。
それまでは義務感のもと檀家に抱かれていた住職の奥さんが、
様子のいい新しい跡継ぎに抱かれた途端、これまで感じたことのない悦びを感じてしまうのでした……。

男女の性の営みにまつわる哀しさや怖さ、滑稽さがよく描かれた作品集ではないでしょうか。

この短編集を堪能した後は、
『ラブレス』『起終着駅』といった作品もぜひお読みください!!

すみません、予想を大外ししてヤケ酒を飲んでおりますので、本日はこのへんで……。


投稿者 yomehon : 2013年07月17日 22:25