12月21日放送分後記
ゲストは先週に引き続き、フリーアナウンサーで押阪忍さんで
した。
いきなりですが、押阪さんをお迎えして思い出したことがあり
ます。私がこの世界に入って、最初の仕事はラジオでした。そ
の時、先輩に言われたことがあります。ラジオは映像がありま
せん。
でも、リスナーに見えないものを見えるように伝えなければな
りません。まず先輩に教わったのが音を聞かせるということ。
玉砂利の道を歩いているのとコンクリートの道を歩いているの
では靴音が違います。音で想像力を広げる・・・。
なんでこんなことを思い出したかといいますと、押阪さんがご
趣味にされている陶芸のコレクションをわざわざ持ってきてく
ださったのですが、ただスタジオで見せて下さっただけではな
く、お茶でかんぱい!とコンコンと音をならすという
おしゃれな演出をしてくださったんです!
前回も書きましたが、この辺の気配りは、そうそう真似ができ
るものではありませんよね。
これも前回も書きましたが押阪さんはハンサムで、しかもおし
ゃれな演出を嫌味なくできるスマートな方。
でも、その生い立ちは、お母様を幼いときに結核で亡くされ、
ご兄弟も次々と同じ結核で亡くなってしまい、お父様と末っ子
の押阪さんだけが残されてしまったという何ともせつない過去
をお持ちなんです。
押阪さんは「いわゆるクレイマークレイマーだったんですよ」
と明るく語っていらっしゃいましたが、はじめて聞く私にとっ
てはものすごくショックなお話でした。
押阪さんの気配りの原点は、大きな悲しみをへて、人とのつな
がりがいかに大切かということを心の底から知っているからな
のではないでしょうか?
世界でも数例という難病にかかってしまった奥様のお話も明る
い口調で話されていましたが、悲しみを乗り越えた押阪さんだ
からこそポジティブに語れるのだということを痛感しました。
本当のやさしさや気配りを思い出させてくれた2週間。贅沢な
時間でした。
さて、次回は、今年最後の放送。
2008年を振り返ります。どうぞお楽しみに!